■『柔道部物語』西野新二
2つ目に紹介するのは、小林まこと氏による柔道作品『柔道部物語』に登場する西野新二。主人公・三五十五(さんごじゅうご)のライバルであり、最強のラスボスだ。数々のライバルを玉砕したパワーに加えてスピードも併せ持つオールラウンダーの選手で、国際親善試合では世界選手権準優勝選手を倒すだけでなく、その圧倒的パワーによって対戦相手の柔道着を引き裂くなど、まさに最強の名に相応しい経歴の持ち主である。主人公とは2度対戦があり、最初の試合ではそのパワーで完全勝利。さらに団体の勝ち抜き戦で主人公の高校をたった一人で倒し切り、その圧倒的実力を見せつけた。
ちなみに柔道を始めた理由は、中学時代にいじめが原因で自殺未遂を図った際、母親から「強く生きてほしい」と言われたため。当時小さかった身体を鍛え、重量級のパワーと軽量級のスピード両方を取得した努力家である。しかし、徐々に自分の強さを認識するにつれて暴力的な性格になっていき、ついには自分をいじめていた相手を半殺しにする事件を引き起こしてしまったのだ。事件は収まったものの、ますます調子に乗って部内で好き勝手に振る舞い、多くの退部者を出してしまう。背が低いながらも超重量級並みのパワーを操るつるつる頭の怪力。自らの強さに振り回されてしまう悲しきライバルであり、読者人気が極めて高いキャラクターだ。