■役作りは意識しないこと。主張しすぎない自然体で

大西弘祐さん演じるM-21

――作品ごとに役のカラーはさまざまですが、今回のような耽美なキャラクターを演じる際はどのようなことを意識されていますか?

新垣 演技に関しては、僕は意識しないようにするのが一番だと思っています。僕の芝居が表すのはキャラクターの一部であって、全体ではない。僕が主張しすぎることによって、キャラクターの輪郭を崩すことがあってはいけないんです。

 たとえば今回のライジェルであれば、口数が少ないキャラクターじゃないですか。そこに対してライジェルの魅力を伝えようと力んでしまうと、重くなってしまうというか、胃にもたれるような感覚を与えてしまうかもしれない。なので、言葉が少ないからこそ、サラッと声を出してみる。意識したというのであれば、そういう部分ですね。作品を見てくださった方々から「格好いい」「妖艶だ」といった評価をいただくことはあっても、僕自身はそれを意識せず、絵と声が合わさった結果そうなる、というのが一番きれいなかたちだと思います。

平川 そのキャラクター自身が「俺、耽美」と思ってそのセリフを言っているわけではないですからね。そのシーンで、誰に対して、どういう距離感で、何を思ってのセリフなのか。大切にしているのはそういうことで、色をつけることは僕もそう意識はしないですね。意図的なシーンであったり、キメ顔やキャラの主張を行うときぐらいですか。それでもほとんどの場合、感覚的なアプローチだと思います。

――放送まであと少しです。序盤はどんなところに注目してほしいですか。

新垣 僕、M-21(CV:大西弘祐)とレジス(CV:若山晃久)の関係が好きなんですよ。子どものケンカみたいなことばかりして。レジスはまだ子どもなところがあるからいいにしても、M-21、君は大人になろうよっていう(笑)。強くて格好よくて、華麗なキャラクターがそういうユーモアにもあふれていて、雰囲気を重くし過ぎない。そういうシリアスの中にあるクスッとした笑いを楽しんでほしいです。

茅野愛衣さん演じるセーラ・J・ロイアード(左)と、若山晃久さん演じるレジス・K・ランデグル

平川 敵も含めて魅力的で濃いキャラクターが多いので、ともすればキャラの大渋滞を起こしかねないところをうまく構成していて、バランスがいいんですよね。物語にのめり込んでくると、彼らのバックボーンをどんどん知りたくなってくる。たとえば、セーラ(茅野愛衣)はたまにほおを赤くするんですけど、彼女のデレポイントはどこなんだろうか、とか。キャラクターの魅力から始まるそういう作品の厚みも見ていただきたいです。

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