こんにちは、特撮芸人のしいはしジャスタウェイです。新型コロナウイルスの影響で全公演を中止していた「シアターGロッソ」のヒーローショーが、8月1日の日曜日に5か月ぶりに再開。僕も初日の3回目を観に行ってきました。
入場での感染予防対策がバッチリなのはもちろんのこと、スタッフさんたちのスムーズな対応がとても素晴らしく、安心して入場することが出来ました。再開にあたり、伝統のレッドとの握手が廃止になってしまったのは残念でしたが、スタッフさんたちのショーを安全に楽しんでもらうために動いてる姿を見て、みんなで作ってるんだなって、なんだか感動してしまいました。このままヒーローショーは観られないのかもしれない、と覚悟をしていたところもあったので、当たり前の入場も何だかうれしく、子どもの頃を思い出しました。
ショーの内容はネタバレになるので書けませんが、ひとつだけ書きたいことがあります。今までのショーでは定番だった「がんばれー」が無くなり、代わりにあるものが導入されました。知りたくないという方はここからは見ないほうがいいと思います。
実は再開されたヒーローショーでは、「がんばれー」の代わりに「拍手」を送るようになったんです。この拍手、めちゃくちゃ万能なんです。追いチケが止まらない特オタ仲間から言われて「なるほどな!」と思ったのですが、この“拍手をする状況”を作り出すことにより、自然と“拍手をしやすい空気”を生み出すことが出来るんです。
実際、キラメイジャー1人1人が名乗るたびに拍手が起きました。これは絶対に演者さんのモチベーションも上がると思います。この構造、何かに似てるな~と思ったら、お笑いの「前説」に似てるんです。前説というのは劇場や番組観覧のお客さんの前で本番前に盛り上げ、笑いやすい空気を作る作業です。あのショーの拍手は完全に前説のシステムです。
日本人は恥ずかしがり屋さんが多いので「欲しい人?」とか「こっちだと思う人?」と聞いてもどっちにも手を上げなかったりします。反応したいという気持ちがあっても何だか手を上げづらいもんです。拍手も同じ。そこで前説の出番なんです。笑わせて場の空気をほぐして「あ、ここで声を出していいんだ、笑っていいんだ」という状況を作り出し本番に持っていきます。そして本番でお客さんが笑うことで、演者も乗ってきてさらに笑いを提供する→お客さんもさらに笑う、という循環ができます。すると大きな渦が出来てドカーン!と盛り上がります。
前説というのは、たとえると久々のプールに入る前の「地獄風呂」こと「腰洗い槽」です。体をその場になじませる。まさにGロッソの拍手がこれなんです。「ああ、拍手していいんだ」という環境が出来ることによりショーもおのずと盛り上がります。(あ、ちなみに腰洗い槽はもう無くなったらしいですよ、おじさんビックリ、知らない子は調べてね)
再開されたGロッソは、舞台を演者とお客さんとで作っている感じがして、観ているほうもなんだか楽しいんです。“大きなお友達”になり、僕みたいなヘタレはどこか照れていた「がんばれー」も拍手だと自然と出来るんです(笑)。いつか日常が戻り「がんばれー」が復活したときも、ぜひこの「拍手」は継続で「がんばれー」と上手く組み合わせていけたら、とてもいい形になるんではないかと今からワクワクしています。