5月18日発売の『週刊少年ジャンプ』(集英社)で完結した『鬼滅の刃』。人気絶頂の中での連載終了だけに「鬼滅ロス」に陥っているファンも多いことだろう。
鬼と人間の戦いを描いたこの作品は、大正時代を背景に繰り広げられた物語だった。「鬼」をテーマに据えた和風ファンタジー漫画は、天使や悪魔などをモチーフにした西洋ファンタジー漫画に比べて数はそれほど多くない。
鬼といえば『うる星やつら』のラム、『Re:ゼロから始める異世界生活』のラム&レムなど、メジャーなキャラクターが思い浮かぶが、彼女たちは鬼と言いつつも、宇宙人だったり異世界人だったりと、日本に古くから伝わる「鬼」のイメージとは少々異なる。そこで今回は、「鬼滅ロス」に悩んでいる人にもオススメの、日本古来の「鬼」をモチーフに作られた傑作漫画を紹介しよう。
オススメの1作目は、永田晃一氏が雑誌『ヤングキング』で連載している漫画『鬼門街』。15巻で第1部が完結し、現在は第2部となる『鬼門街 KARMA』が連載中。地獄行き確定の運命とひきかえに、鬼と契約して人外の力を手に入れる「鬼憑き」。ごく普通の高校生だった主人公・川嶋マサトは、理不尽な母親の死や、チンピラの暴行によって瀕死になるという悲劇に見舞われる。そこに現れた最強の鬼「豪鬼」と契約を結んだマサトは「鬼憑き」となる。
母親を殺した犯人を探しながら、周囲で巻き起こる鬼絡みの事件に立ち向かう主人公の姿を描いた物語で、契約した鬼たちの能力を活用した異能バトルが見もの。“天国”と“地獄”のシニカルな関係性もバックボーンとして存在し、さらに不良漫画のテイストも加わった手に汗握るアツい展開が魅力的な作品だ。
続いて2作目は、江口夏実氏が雑誌『モーニング』(講談社)にて連載していた『鬼灯の冷徹』。地獄を舞台に、獄卒(地獄の鬼)である鬼灯の日常を描いた物語だ。古典的な世界観に現代的な組織の構図をはめこみ、閻魔大王の補佐として働く主人公・鬼灯の日々の生活を描くコメディ作品だ。上司に対しても分け隔てなく冷徹な主人公の行動がとてもシニカルで面白い。
繊細なタッチで描かれる絵柄も印象的な和風ファンタジーで、独特の世界観を構築している。また、同作は2013年にはアニメ化もされており、連載のほうは今年1月9日発売の『モーニング』で完結。現在は30巻まで単行本化されている。