■試合中に死者が続出!
さらに「アストロ球団の抹殺」を掲げる、もうひとつの超人球団・ビクトリー球団との試合も語り草です。アストロ球団を文字通り“殺す”ことに執念を燃やすビクトリー球団は、走塁中のランナーの体めがけて、スパイクを向けた選手が次々と上から急降下する「人間ナイアガラ」なる暴挙を敢行。これだけにとどまらず、アストロ超人に打球を直撃させたり、タッチしながら肋骨を折ったりと、まさに血で血を洗う試合展開に。
そんなハチャメチャな試合を観戦していた長嶋茂雄選手らの説得により、正々堂々とした野球で勝敗を決めることになった両者。「ファントム大魔球」や「アンドロメダ大星雲打法」といった必殺技によるアストロ球団の反撃が始まるのですが、実はここからのビクトリー球団選手の命がけのドラマが恐ろしく熱い!
魔球を投げた直後にマウンドで命尽きたピッチャー・氏家慎次郎。眼帯をしたヘタレと思いきや、ファウルボール捕球時に頭を強打。最終回に同点ホームランを放ってホームイン後に辞世の句を詠んで息絶えたバロン森。そして殺人野球を恥じ、詫び状を残してかげ腹を切り、満塁ホームランを放つも絶命した伊集院大門など。試合中に壮絶な死を遂げた彼らの勇姿は読者に強烈なインパクトを与え、いまだに根強いファンがいるのも納得です。
この死闘はアストロ球団の勝利に終わりますが、あまりに凄惨な試合だったためか日本だけでなく全世界のプロ野球組織から不認可を受けてしまいます。この裁定に失望した彼らは、野球のできる新天地を求めて旅立っていくのです……なぜかアフリカへ。
そんな衝撃的な物語で、当時のコミックスは全20巻もあるにもかかわらず、よくよく考えると3試合しかしてません。それにルール違反が続出する試合ばかりで「どこが野球なんだ!?」と思われる野球ファンもいるかもしれませんが、そんな小さなことを吹き飛ばす熱い展開が怒濤のように押し寄せてきます。