『アストロ球団』常識はずれ&ルール無用の「野球バトル漫画」が鬱屈した雰囲気を吹き飛ばす!?の画像
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 新型コロナウイルスの感染拡大により、春の風物詩であるプロ野球の公式戦開幕も延期。自粛自粛で家にこもらざるをえない野球ファンに、そんな鬱憤を晴らすような強烈な漫画をご紹介! それは『アストロ球団』という少々古い漫画なんですが、激熱の野球バトルが楽しめるんです。

■現代にも通じるバトル漫画の原点『アストロ球団』

 プロ野球ファンなら名前ぐらいは聞いたことのある伝説の投手・沢村栄治氏。第二次世界大戦中のフィリピンで戦死された沢村氏の意志を継ぐ9人の超人たちが、アストロ球団という野球チームを結成。読売巨人軍や、アメリカ大リーグの打倒を掲げる……というよりは、ケンカ上等で戦っていくという野球漫画です。

 同作の原作は遠崎史朗氏、作画は中島徳博氏で、1972年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載開始。『アストロ球団』には「友情」「努力」「勝利」はもちろんのこと、ここぞというときの切り札ともいえる必殺打法や魔球などが登場。

 それらを習得するための特訓シーンや、美男子キャラの登場もあったりと、現代に通じるジャンプの王道漫画的な展開、およびバトル漫画のベースとなる要素が詰まった作品でもありました。野球漫画でありながら、かなりハチャメチャなバトルが繰り広げられ、『アストロ球団』がなければ、バトル漫画の隆盛は遅れていたかもしれないほどです。

 それだけに今読んでも面白い! それどころか最近の漫画にはないケタはずれの“熱さ”が感じられることでしょう。

■打撲に骨折、試合で流血は当たり前!

 沢村栄治の意志を継いだフィリピン人のJ・シュウロは、超人たちを率いてアストロ球団を設立。同球団は「一試合完全燃焼!」を掲げ、日本球界に殴りこみをかけます。

 最初の試合では、アストロ球団と同じく「打倒巨人軍」を目指すブラック球団と激突。いきなり9人に満たないチームで試合が行われますが、『アストロ球団』に細かいルールは無用です。

 この試合では、対戦相手のブラック球団の投手の魔球「殺人L字ボール」を食らったアストロ球団の上野球二が絶命するという大波乱の展開に。ほかにも、狙った場所に強襲ライナーを放つことができる「殺人X打法」が登場するなど、なぜか野球漫画なのに“殺人”という言葉が飛び交う、すさまじい試合です。続いて行われたロッテオリオンズ戦も、アストロ球団のピッチャーでありチームリーダーの宇野球一が頭にビーンボールを受け、生死をさまよう事態に陥る壮絶な試合でした。

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