■あまりに「手ごわい」シミュレーション

 ゲームを始めるといきなりマップ画面になり、第1章のストーリーがキャラクターたちによって手短に語られたかと思えば、すぐさま戦闘が始まります。

 このスピード感と「まあ、最初だから小手調べだろ」という固定観念にだまされてはいけません。

 少しでもこの固定観念がよぎってしまうと、死んだらゲームオーバーとなる主人公・マルスはもちろん、死んだら生き返らない仲間も慎重に操作しなければならないことを分かっていても、シミュレーションゲーム初心者は「敵がどんなふうに動いてくるのか」をあまり考えずに敵陣に向かっていってしまいがちです。

 たしかに初陣の第1章の敵はかなり弱いし、テキトーにやっても全員生存できるかもしれません。

 ですが、このやり方では後々「絶対に」詰みます。

 このゲームの仲間キャラは先ほども言ったように「有限」で、仲間を失えばその分戦力も削られてしまいます。

別れがあれば出会いも。新キャラのセリフは短いながらどれも物語を感じさせるもの。
第3章では僧侶・レナや盗賊・ジュリアンのほか、最強の傭兵・ナバール(のちの声優は子安武人)が仲間に。

 本作は1章1マップの構成となっており、章クリア後に後戻りすることはできません。

 マップにいる敵キャラの数は決まっているため無限にレベル上げもできないので、強化した味方を無理に進軍させすぎて敵に囲まれてタコ殴りにされて戦死した場合、ほぼ詰みです。

 RPGにおいて詰むことなどほとんどありませんが、このへんは「手ごわいシミュレーション」といったところでしょうか。

 こういった点からレベル上げもある程度の「計算」が必要になってきます。ジェイガンに経験値を与えまくることは、縛りプレイでもない限りやらないほうがいいです。

 だからと言って「よし分かった。ジェイガンは戦闘に参加させない!」ということに固執してしまうと、今度は味方が弱く少ない序盤を「誰一人失わず」に切り抜けることが困難になるでしょう。上級者はさておき、ですが。

 私的には、高い防御力を誇るアーマーナイトのドーガをうまく盾役にしながら、進めていくのが序盤のコツだと思いますが、この攻略法に関しても人それぞれです。

ドーガ。成長率が低く使い勝手は悪いが初期メンゆえ愛されるキャラでもある。

 同じゲームをプレイしているのに、動かし方や戦略が十人十色なので、人によって展開が異なります。このプレイヤーごとに特色が出るシステムも良いところですね。

 ちなみに道中で戦死した仲間の数によって、シナリオの展開が変わることもあります。たとえば、ヒロインのシーダを亡くした状態でクリアすると……など、続きはご自身の目でご確認ください。(これに関しては見ないほうがいいですが……)

 とにかくこの戦闘と育成のバランスが非常によくできているんです。本当に30年前のゲームなのか? と思うほど、ゲームシステムも含めて初代作品ながら完成度が非常に高く、現在でも十分に通用するこのゲームバランスは脱帽です。

「誰を守り、誰を成長させるか」を考えながら進軍していきつつ、敵軍の予想外の行動範囲に虚をつかれたり「低確率の必殺」の大ダメージを受けたりして涙を流す……そんなことを繰り返しながらプレイしてみてください。

 ちなみにオススメキャラは終盤に仲間になるチキです。最強幼女です。

神竜族の末裔・チキ。人間の姿で見た目は幼女だが1000歳をゆうに超えている。

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