■深夜3時に軌道エレベータの話で大盛り上がり

吉田 そういえば、前回はJAXAの方々と話し込んでいましたね。

福山 そうそう。まさか深夜3時に軌道エレベータの話で盛り上がるとは思いもしませんでした(笑)。

――なぜJAXAの方々が?

吉田 僕がたまたまJAXAのイベントの司会をさせていただいて、そのツテで食事会に誘ったんです。JAXAの方々って、子どもの頃に『機動戦士ガンダム』や『宇宙戦艦ヤマト』を観て宇宙開発を志した人が多いんです。あの“はやぶさ”のイオンエンジンを作った宇宙科学研究所長の國中均博士の好きな言葉は「こんなこともあろうかと」ですから(笑)。

福山 毎回誰が食事会に来るのかまったく知らないし、全員がほぼ初対面なんですけど、自分の仕事や好きなことを話していくうちに、不思議と会話が成り立っていくんです。哲学の話になったかと思えば、ラグビーの話になったり、仏教やキリスト教の話になるなど、まるでザッピングのように会話が進んでいくんですけれど、それが心地良いんです。

――その会話についていけるのがすごいですね(笑)。

福山 皆さん、超絶頭が良いので、僕も必死です(笑)。パブリックイメージからすると意外かもしれませんけど、僕はコミュニケーションに関しては本当に受動的で、引きこもりに近いんですよ。だから本来ならば異業種の、しかも初対面の方と話すことがいちばん苦手なんですけど、でもそれが全然嫌じゃないんですよね。

吉田 そうだったんですね。

福山 吉田さんの食事会は全員が同じ条件ですし、そこに集まっている方々が魅力的。皆さんそれぞれの分野のプロフェッショナルなので、彼らがどういう言葉を使って何をどう伝えようとしているのかがすごく勉強になるんですよね。

――吉田さんもコミュ障を公言していて、それをテーマにした著書も出されていますよね。

吉田 僕も本来は初対面の人と話すのは本当に苦手なんですよ。でもアナウンサーになっちゃったから、強制的に年間200回ほど本番がやって来るという(笑)。

福山 吉田さんが人と話すのが苦手ということも驚きですけど、それならなぜアナウンサーになったんですか。

吉田 受かると思わなくて受けたら、偶然にも受かっちゃったんです。もともとオタクですから、好きなことについて延々と喋ることは好きだったんです。でも人と会ったり、知らない人と喋るのは苦手という状態で、でも仕事だしやるしかないと臨んでみたら、どうやら相手側にも僕と同じような人はたくさんいるなと気づいたんです。実はコミュ障タイプの人って、相手が非コミュ障であればあるほど辛いんです。こちらの気持ちに微塵も気づかないし、理解もできないわけですから。でも同じコミュ障タイプ同士なら、少なくともお互いのしんどい気持ちは理解できますよね。だったらやりようはあるなと思って、心理学などを調べつつ、自分なりのコミュニケーション術を構築していったんです。

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