■「理系」としての構造の捉え方

 僕は、どうやら考え方が“理系”のようで、物事の構造や成り立ちみたいなものに興味があるんですね。映画だったら、そもそも活動写真というくらいだから、まず写真……つまりビジュアルがあって、そこから立ち上げていくのが本来の流れなのではないか、と。一方の演劇は、照明のない時代からあったもの。だから、まずは耳から入ってくるセリフありきになるわけです。でも、今は照明がありますから、逆にビジュアルありきの演劇でもいいじゃないか……なんてことを考えるのが大好きなんです(笑)。でも、お客さんにとっては、構造や成り立ちはどうでもよくて、面白いか面白くないかがすべてなんですよね。

 僕らの劇団「ヨーロッパ企画」は京都の大学の演劇サークルが母体で、以来ずっと京都で活動を続けています。京都という町は、新しいものに対して懐疑的な面があるように思います。新しいものが入ってきたとき、一応興味を持って見ながら、古いものと比べる。そして、“古いものと比べても良い”とならない限り、認めてはもらえません。やりにくさもありますが、だからこそ京都で残ることができたら“本物”なんです。

上田誠/うえだ・まこと
1979年、京都府生まれ。1998年に劇団「ヨーロッパ企画」を旗揚げ。以降、すべての本公演の脚本・演出を担当。その他にも映画やドラマの脚本、テレビ・ラジオ番組の構成にも携わる。主な脚本担当作品として映画『ペンギン・ハイウェイ』『海辺の週刊大衆』、ドラマ『ドラゴン青年団』などがある。4月スタートのドラマ『浦安鉄筋家族』(テレビ東京系)の脚本も執筆。1月31日より、脚本を担当した映画『前田建設ファンタジー営業部』が公開。

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