■「アベンジャーズ」メンバーにも類似点続出

●パクりヒーロー=アントマン、ホークアイ、クイックシルバー(いずれもマーベル)
●パクられヒーロー=アトム、グリーンアロー、フラッシュ(いずれもDC) 

 そのアベンジャーズのメンバーも、パクリキャラが横行している。

 まずはアベンジャーズ創設メンバーのアントマンから。アントマンことヘンリー・ピム博士が初めてコミックスに登場したのは、『Tales of Astonish』27号(1962年)。体を小さくする薬を発明した科学者が、自分を実験台にしたところ、蟻塚に入り込んで九死に一生を得る……というSF短編で、『世にも奇妙な物語』に出てきそうな内容だった。

 これに先立つ1961年、DCコミックスは『アトム』というヒーローを創出した。白色矮星から取り出した物質を使って、文字通り原子のように小さくなる能力を得たという設定。手塚治虫がアニメ版『鉄腕アトム』をアメリカのテレビに売り込んだ際、『アストロ・ボーイ』というタイトルに変更させられたが、米国では先行していたこのヒーローの存在は無関係ではなかったかもしれない。 

 実はアベンジャーズは、16号めでメンバーを入れ替えている。キャプテン・アメリカをリーダーとする4人のチームになるのだが、その際の「第二次アベンジャーズ」は、クイックシルバー&スカーレット・ウイッチの双子のミュータントと、弓矢を使って悪と戦うホークアイだった。

 そのホークアイは、アイアンマンの敵として、1964年に『Tales of Suspense』57号にてデビュー。当初はロシアの女スパイ、ブラック・ウィドウとコンビを組んでいた。 

 このキャラクターは、DCコミックスの『グリーン・アロー』のパクリ。こちらは『アロー』としてテレビシリーズにもなっているので、ご存じの人も多いだろう。グリーン・アローのデビューは1941年の『More Fun Comics』73号。漫画版では、ボクシング・グローブやアメリカン・クラッカーなどのギミックが先端についた矢を使用するような、ちょっとバカバカしいところもあるヒーローだった。 

 ホークアイとともに第二次アベンジャーズに加わったクイックシルバーは、どういう大人の事情があったのか、映画では『アベンジャーズ』と『X-MEN』の両シリーズに出演している。高速で走ることができるこのヒーローがコミックスで初登場したのは『The X-Men』4号(1964)。 

 その元ネタとなったザ・フラッシュは、1940年に『Flash Comics』1号で初お目見え。

 実はフラッシュは現在まで少なくとも4代目までが存在しており、初代フラッシュはジェイ・ギャリックという大学のフットボール選手だった。映画『ジャスティス・リーグ』および実写テレビ版の『フラッシュ』に出ているのは2代目のバリー・アレンである。

■あの最強敵キャラにもパクリ説!?

●パクリ=サノス(マーベル)
●パクられ=ダークサイド(Darkseid)(DC) 

 アベンジャーズのパクリは、チームのコンセプトやメンバーだけに留まらない。なんと敵役もDCコミックスからのイタダキだった。

 アベンジャーズ最大の敵は、なんと言っても指パッチンひとつで全宇宙の半分を滅ぼしたサノスだろう。初登場は、1973年の『The Invincible Iron Man』55号。

 ダークサイドは、アベンジャーズの生みの親というべきレジェンド漫画家、ジャック・カービーがマーベルからDCに移籍してすぐに創造したキャラクター。1970年の『Superman’s Pal Jimmy Olsen』134号で思わせぶりにちょっとだけ登場し、翌年の『Forever People』1号にはフルで出演した。

「宇宙のヒットラー」とでも言うべきサノスだが、創造主の原作者ジム・シューターは、「サノスはジャック・カービーが生んだダークサイドに多大な影響を受けた」と認めている。

 実際に見比べてみると、宇宙を統べる神様の一族の一人で、突出したパワーを持つ独裁者……というキャラ設定はそっくりだし、そのうえ岩のようなルックスも同じに見える。一説には、映画版『アベンジャーズ』のエンドクレジットでサノスの登場を匂わすシーンがあったため、同じく映画版の『ジャスティス・リーグ』ではダークサイドの起用を諦めたとか。 

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