アベンジャーズにも疑惑あり、アメコミ「パクリ」問題の歴史の画像
(イラスト/中井仲蔵)

 前年に引き続き、2020年もコミックスの映像化が続くハリウッド。マーベルからは『ブラック・ウィドウ』や『エターナルズ』が、DCコミックスからは『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』『ワンダーウーマン1984』の公開が、それぞれ決まっている。

 アメリカン・コミックスのヒーローたちを語るにおいて、避けて通れないのが「パクリ」問題である。

 そもそも現在のアメコミ界自体が、1938年に初めて世に出た『スーパーマン』のパクリみたいなものではあるのだが、その「スーパーマン」だって、もとのコンセプトは哲学者のニーチェが提唱した「超人」という概念なのだ。そして21世紀の今、世界中でスーパーマンを知らない人はいないだろうが、ニーチェの本を読んだことがある人は、かなりの少数派となってしまった。パクリのほうが本家を凌駕してしまったわけである。

 そこで今回は、「パクったほうが本家より有名になっちゃった」というヒーローをご紹介しよう。 

■ヒット作「アベンジャーズ」にパクリ疑惑!?

●パクりヒーロー=アベンジャーズ(マーベル)
●パクられ被害者=ジャスティス・リーグ(DC) 

 アメコミのスピンオフでは、最大のヒットとなったのが映画『アベンジャーズ』シリーズ。

 それぞれ独立した作品があるスーパーヒーローが結集し、個別では倒せないような強大な敵と戦う……という、野球でいえばオールスターゲームのようなスケールの大きさと豪華さが大受け。2012年から2019年にかけて作られた4作は、いずれも「世界歴代興行収益」のベスト10に入るという快挙を成し遂げた。

 この『アベンジャーズ』が、コミックの世界に初登場したのは1963年。『The Avengers』誌第1号でのことだった。創設メンバーは、アイアンマン、ソー、アントマン、ワスプ、ハルクの5人。2号目でハルクが抜けたものの、4号目で北極の氷の中から救出されたキャプテン・アメリカが加わってから人気が上がった。

 だが、マーベルコミックスがこのヒーロー集団を生み出す3年も前に、DCコミックスは自社のキャラクターを集めた『ジャスティス・リーグ』を発表していた。

 初出は『The Brave and the Bold』28号(1960年)。当時は『ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ』と、チーム名に国名がついていた。

 世に伝わる伝説によると、マーベル・コミックスの名物編集者スタン・リーが、DCの社員と一緒にゴルフをしていた際に「ジャスティス・リーグが売れている」という話を耳にして、1961年にスーパーヒーロー集団モノの『ファンタスティック・フォー』誌を立ち上げて大ヒット。そのまた2年後に、マーベル版ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカとも呼ぶべき、『アベンジャーズ』を発刊する運びとなったわけである。

 このシリーズは、今もDCコミックスの主要ラインナップではあるが、こと映画化に関してはマーベルの『アベンジャーズ』(2012年)から5年も遅れてしまったため、いまやアメコミに詳しくない一般の人からは「『ジャスティス・リーグ』ってモロ、アベンジャーズのパクリだよね」と言われる始末。

 さらに、アベンジャーズが毎年数々のスピンオフ作品を生み出しているのにくらべ、ジャスティス・リーグは『アクアマン』と『ワンダーウーマン』が気を吐くものの、『フラッシュ』の映画化も伸びに伸びて2022年ということになってしまったし、その間にスーパーマンとバットマン役の役者も降板を発表するなど、シリーズ続編も目処が立たない状況なのであった。

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