どうも、仮面ライダー芸人のしいはしジャスタウェイです。スーツアクター・高岩成二さんについては、あまりのすごさに語り尽くすことができません。
ミスター仮面ライダーという異名どおり、平成仮面ライダーのイメージがある高岩成二さん。ですが実はもともとは戦隊ヒーロー畑の出身で、数々のレッドを演じた後、2001年の『仮面ライダーアギト』から主人公ライダーを演じるようになった人でもあるんです。これ、『キングオブコント』の優勝コンビが、実は過去に『M-1グランプリ』でも優勝していた、みたいなことなんです。いや、それスゲェな! って思った方、高岩さんってそのぐらいスゲェんですよ。
高岩さんは、スーツアクターとしてかっこいいアクションを見せるだけでなく、変身前の俳優のキャラ性を考え違和感のないように自然な動きを見せる俳優でもあります。『アギト』は、変身前のキャラクター・津上翔一が記憶喪失で、変身するとガラッとキャラが変わる設定だったので、そこまで変身後との動きのリンクは必要とされませんでした。
ですが次の年の『仮面ライダー龍騎』は主人公・城戸真司がとても人間らしいキャラクターだったため、素人っぽいガムシャラな動きをしていました。この龍騎という作品に、高岩さんらしさが存分に出ているんです。
有名どころで言うと『龍騎』第1話に、ライダーに変身した龍騎の足元に空から剣が降ってくるシーンがあります。そのとき龍騎は剣をすぐには抜かず、オロオロと空を2度見するんです。監督になぜ空を見上げたのか聞かれた高岩さんは、「剣が降ってきたら降ってきたところを見るでしょう」と答えたとか。
な、なるほどー。俺みたいな長年特撮風呂に浸かりっぱなしだと、直ぐに剣を抜いて戦うことを良しとする脳になっているんですが、主人公が初めて変身して、謎の空間に来て、よく分からないろころに空から剣が降ってきたら、たしかに「剣降ってきた!? え? 空? 空から!? え?』って空見ますよ。
■鋭い観察眼で役者の動きを再現
高岩さんのそういう細かい芝居が、我々の特撮脳をマッサージして柔軟にしてくれたんです。このように、高岩さんのすごさは変身後の動きに変身前との姿を連想させるキャラのリンク具合に表れています。これはファンの間では有名ですが、役者さんと話し合っての役作りはもちろんのこと、役者さんの癖や歩くときの重心の掛け方などを恐ろしいほどの観察眼で見抜き、それを自分の芝居に落とし込みます。
とはいえ、新番組スタートの時期は、スケジュールの都合などで役者さんと会う前にライダーのシーンの撮影が始まってしまうことがあります。なので高岩さん先行でキャラ作りされることもあり、変身前の役者さんが高岩さんを見て役作りに活かすこともあるそうです。
このように平成ライダーでは大活躍の高岩さんですが、2005年に一度、戦隊ヒーローに戻り『魔法戦隊マジレンジャー』でマジレッドを演じます。マジレッドは変身前の役者さんと絡むことも多く、この頃、高岩さんは「ライダーで培った物を戦隊に持っていきたい」と思っていたそうです。
マジレッドこと小津魁は高校生2年生でもあります。高岩さんは1年間がっつり高校生を演じたと思えば、次の年では『仮面ライダーカブト』で再びライダーに戻り、俺様キャラの天道総司になる。この振り幅!さすがです。