『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中の、吾峠呼世晴氏(ごとうげこよはる)による漫画『鬼滅の刃』。2019年4月からのアニメ化を機に大ブレイクを果たし、同年のコミック年間累計売上ランキングでは1位を獲得。11年連続1位だった尾田栄一郎氏の人気漫画『ONE PIECE』を追い越したことが大きな話題となった。
舞台は大正時代。鬼に家族を殺され、妹の竈門禰豆子(かまどねずこ)を鬼にされた炭売りの少年・竈門炭治郎(かまどたんじろう)が、禰豆子を人間に戻すため、鬼狩りの組織「鬼殺隊」の隊士となって仇の鬼を追うというストーリー。
特に女性層を中心に人気が爆発し、テレビアニメ放送終了後も、各メディアで特集を組まれるほどの社会現象になり、書店では原作コミックの各巻の売り切れが相次いだ。ファンは作品のどんなところに引きつけられているのか。『鬼滅の刃』の大ファンで知られるお笑い芸人の椿鬼奴(47)を直撃し、その魅力を語ってもらった。
■自分の息子にはこうあってほしい
――まず、鬼奴さんが『鬼滅の刃』にハマった経緯から教えていただきたいです。
今でも覚えてますね。もともと『週刊少年ジャンプ』を毎週ずっと購入していたんですけど、2016年の2月に連載第1回目が掲載されていて、炭次郎と禰豆子が書かれたその表紙を見て一目惚れしてしまったんです。鋭い目を光らせて刀を持った炭治郎のインパクトのある絵を見て、ビビッときましたね。これはもう絶対ハマる絵だって。その直感通り、第1話目が最高だったんですよ。炭次郎がいきなり家族を失ってしまうという残酷で衝撃的な始まりでしたけど、出し惜しみのない展開の早さで、漫画にグイグイ引き込まれました。そのあとはもうワクワクするストーリーに引きつけられて、毎週発売されるジャンプが待ち遠しくてたまらなくなってしまったんです。
――ジャンプ読者の間では初期から評価の高い同作ですが、世間的に大ブレイクしたのは昨年のアニメ化からという印象があります。どういうところがブレイクのポイントだったのか、ファンからの視点で分かることはありますか?
アニメ版の絵って、漫画の絵よりかわいらしさが強調されているように思います。キャラクターたちに柔らかい印象があって、間口が広くなっているのかもしれません。そして、なにより色がキレイ。漫画のカラーページで見ていた世界がフルカラーで飛び込んできて、それも、大正ロマンを感じさせるすごくオシャレな色使いなのもいいですよね。和装の衣服とか街並みとか、女性が好きな趣のある絵なんですよね。
私はいろいろなジャンルの漫画を読んできたんですが、慣れていない絵柄の漫画だと敬遠してしまう人は多いと思うんです。『鬼滅の刃』のアニメはそこの間口がまず入りやすかった。見た目の良さでまずキャラクターや世界設定にハマって、そのうえでストーリーの良さにハマって、ぐいぐい引き込まれたのではないでしょうか。