■ただ「面白い」だけでは通用しない時代に

 僕らはゲームを作っていますが、お金より前に、まず「時間」をもらわなくてはいけない。時間を割いてもいいという意志の下に、お金を払ってくれるわけです。そして人には、「ライフスタイル」というものが、絶対にある。ライフスタイルの中に、ゲームが遊ばれるスキマがどこにあるのか。それがこれからのカギだと思うんです。ライフスタイルの中に、ちょうどいい時間が取れない商品は、結局はやりません。

 たとえば、以前『モンスターハンター』というゲームが爆発的にヒットしたんですけど、あれは「学校の休み時間」にフィットしたから。いつ誰がどこで遊ぶかが、ハッキリしていたんです。

 僕らが若い頃は、面白いものが売れるし、最終的に勝つと教えられてきましたが、それは残念ながら“今や昔”。ただ「面白い」だけでは、もう通用しません。どこで、どんな人が、どんなタイミングで遊んで面白いのか。これを作り手がちゃんと意識する必要があります。

 今、海外のゲームは大型投資が当たり前で、1本作るのに100億円とか平気でかけて、何千万本と売り上げる。ハリウッドの映画と一緒です。僕らは、日本語という小さな島国だけの言語を使っている時点で、世界に対してマイナスの宿命がある。それでも、ジャパニーズが作るオリジナリティが高いユニークなゲームは、超大作の合間でたまに遊びたくなる。だから、日本のゲーム作りは、今のままでいいのかなと思いますね。

<プロフィール>
名越稔洋/なごし・としひろ
1965年、山口県生まれ。東京造形大学卒業後の89年にセガ入社。『バーチャレーシング』や『バーチャファイター』などゲームタイトルに携わり、94年、初めてプロデュースしたレースゲーム『デイトナUSA』が大ヒット。2005年、裏社会の人間ドラマを描いたゲーム『龍が如く』をリリース。シリーズ累計で1200万本を超える大ヒットとなる。現在、株式会社セガゲームス取締役CPO、並びに株式会社セガ·インタラクティブ取締役CPOも務める。

■『龍が如く7 光と闇の行方』
発売・販売:株式会社セガゲームス
対応機種:PlayStation4
ジャンル:ドラマティックRPG
発売日:2020年1月16日(木)発売予定
価格:パッケージ版・ダウンロード版:8,390円(税別)
プレイ人数:1人
CEROレーティング:D(17歳以上対象)

「大人向けのエンタテインメント作品」というコンセプトの元、2005年に誕生して以来、累計出荷本数1200万本を超える人気シリーズ作品となった『龍が如く』。巨大歓楽街に生きる熱き男たちの生き様を描いたシリーズの最新作は、主人公を桐生一馬から春日一番に交代。新システム「ライブコマンドRPGバトル」を採用し、横浜・伊勢佐木異人町を舞台に男たちが暴れまくる。

(C)SEGA

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