レイザーラモンHG先輩と私
レイザーラモンHG先輩と私

 霜が朝日にキラキラと溶けていく様子に清々しい一日の始まりを感じる初霜の候、いかがお過ごしでしょうか? ムーディ勝山です。

 大人らしく、時候の挨拶からコラムをスタートさせて頂きました。芸人さんに僕のオススメ漫画を紹介するこのコラムが、なぜ始まったのか?

 それは少し前の『アメトーーク!』漫画好き芸人の回で、漫画通で知られるケンドーコバヤシさんと麒麟川島明さんのお二人が番組中に「ムーディの漫画情報は絶対信頼できるから、オススメされたら必ず読む」とおっしゃってくれたのです。(前回のコラムでも言っていたのにもう一度書くしつこさ!)

 そもそも僕は、父、母、兄、姉、三人兄弟の末っ子として生まれました。うちの家族で母以外が漫画好き。実家の本棚には1000冊を超える漫画があり、物心ついたときには同い年の子どもが絵本を読んでいるとき、僕は永井豪先生の『あばしり一家』を読んでいました。男が油風呂に落ちて天婦羅になった自分を「うまい!」と言って食べ続け、最後に頭だけが残る、という強烈過ぎるボケのシーンを鮮明に覚えています。

 それからも同級生がコロコロコミックやボンボンを読んでいるときに僕は『巨人の星』や『マカロニホウレン荘』を読み、同級生が『キャプテン翼』を読んでいるときは『ドカベン』や『のたり松太郎』を読んでいました。

 姉は車田正美先生にハマっていたので、姉からは車田作品を学び、しまいに姉はなぜか「将来お前を漫画家にする!」と意気込み、小学生の僕にGペンを持たせ、スクリーントーンの使い方まで教えてくる始末でした。

 そうした環境のおかげで、少しは漫画を見る目が養われたのかもしれません。

 さて記念すべき「ムーディ勝山オススメの漫画を他の芸人さんに紹介する!」コラム第2回目は、僕の一発屋の先輩であるレイザーラモンHGさんです! 一発屋としては2005年担当で(僕は2007年担当)、「フォー!」のギャグで一世を風靡されました。

 ふだんからお世話になっているので、お返しにおもしろ漫画でもプレゼントしないとセイでしょ~。

 今の漫画は設定が複雑で伏線も多く、週刊誌で読んでたりすると少しの見落としで「今この漫画は何やってるんだろう?」とストーリーについていけなくなることがたまにあります。難しいのもいいんですが「ダイハード」ぐらい分かりやすいのも見たい!

 そこでオススメしたい漫画が、「このマンガがすごい!2019オトコ編」第5位に選ばれている、13人の神々と13人の人類代表の英雄たちが戦うバトル漫画『終末のワルキューレ』(徳間書店)の構成を務めるフクイタクミ先生が『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)で連載した……『百足』(ムカデ)でございます!!

 この漫画の設定が至極明快で、1人の男が100人の山賊と戦う、、それだけです!

 タイトルになっている「百足」とは、敵である100人の山賊。

 月の無い夜に人里を襲い、一晩ですべてを喰らう超悪党集団。これに対するのが主人公、百手無双流の使い手・馬頭丸。

 いやいや、「1人VS100人」とか……。
「月の無い夜に人里を喰らう超悪党集団」とか……。
「百手無双流の使い手」とか……。

 体の中に潜む「こども心」がくすぐられる!!!

 小学生の頃にB4の紙を半分に折り畳んでホッチキスで止めた冊子に、友達たちと描いていたバトル漫画。そのとき描きたかった物のずっと先にあるのがこの漫画です!

 この漫画は全3巻で完結しているので、馬頭丸が勝利するには1巻で33人のペースで相手を殺らなければいけません。ひくほどハイペース。当時の帯にも「6ページごとにひとりの首が飛ぶ!」と書いてありました。

 そしてこのシンプルな設定が飽きずに読めてしまうのは、『終末のワルキューレ』などでも見て取れる秀逸なキャラ造形です。百足100人のキャラが、まあ濃い。

 例えるなら、ダンディ坂野、ムーディ勝山、レイザーラモンHG、長洲小力、小梅太夫、髭男爵、テツandトモ、大西ライオン……こんなキャラ濃いのが固まって主人公に向かっていきます。

 ゲッツして受け流してフォーしてキレてなくてルネッサンスでチキショーでなんでだろうで最後に心配ないさー! と全員がギャグをしながら向かってきます。異様な画です。

 そして、そんな個性ある敵が1巻33人のペースで倒されていくんです!これはスカッとします!!「フォー!」確定です。

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