■通常のカット割りをしなかった理由

――見せ方でわかりやすくしようという考えはなかったんですか?

平井 普段通りにカット割りしてしまうと、逆につまらなくなってしまうと思ったんです。ダウのみなさんがやっているように、ひとつのセットだけで見せようと。あえて舞台のようにしました。

――脚本の内容はどうでしたか?

平井 読んでいて腑に落ちるところとわからないところがあって。焼き鳥の話は好きだけど、「クレヨンが臭い」というのは理解できませんでした(笑)。わからない部分を昇華しないと作れないから、そこは難しかったかなと。

國安 僕も「クレヨンが臭い」とは思わなかったので、周りに聞いてみたり(笑)。

――独特な匂いはありますよね(笑)。

國安 すごく小さなことでも、人によって感じ方が違うという、その差異が僕は面白いポイントだと思うんです。それにしても、「『クレヨンしんちゃん』というタイトルのアニメで、あのクレヨンを臭いとするのはいいのか」という迷いもありましたが、作家の想いが詰まっているように感じたので、そのまま活かすことにしたんです。

――焼き鳥の話は定番のネタではあるけど、ディテールの細かさで面白い会話になっていました。

國安 焼き鳥の現物がない状態での会話なので伝わりにくいんですけど、「イメージ映像を入れる」という手法は使いたくなくて。平井さんと原画の木村陽子さんが表現する動きでカバーできたと思います。

平井 イメージ映像で逃げてしまうと、蓮見さんの意図とズレてしまいますから。

――ひろしの靴下の色を描くために、しんのすけのクレヨンは黄色から先になくなっていくところに、愛を感じました。

國安 そうなんです! そのくだりがあったことで、このシナリオが良いと思いました。

 

平井峰太郎氏…シンエイ動画所属、アニメーション演出家
國安真一氏…シンエイ動画所属、プロデューサー

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