■打ち切り決定後、最終回でアンケート1位に!『ホワイトアルバム』
続いては、『さくらの唄』『バカ姉弟』などで知られる安達哲さんの『ホワイトアルバム』だ。1988年の『週刊少年マガジン』21号から連載された、安達さんにとっての連載デビュー作である。
主人公の鮎川健一は第一志望の高校に落ち、黒目高校へと入学。希望する進学先ではなかったことから、新学期早々、高校生活に失望していた。しかも受験失敗のきっかけとなった同級生・今井亜希子まで同じクラスにいた。
そしてクラスメイトの藍沢由美に一目惚れする健一だったが、由美の元恋人である臼井宏幸も同じクラスにいて、恋愛はそう単純には進まない。進学に対する不満から始まった高校生活で、友人たちとのつきあいや恋愛を経験していく青春群像劇だ。
「つれてって 今度こそ」から始まるラストフレーズも含め、青春の明るさだけを描かない安達さんらしい作風が楽しめる作品だったが、当初の読者アンケートは振るわなかったという。早稲田大学『早稲田ウィークリー』のインタビューによれば、担当編集者だった樹林伸さんは、連載3~4週目には打ち切りが決まったと振り返っている。
なお、打ち切り決定後に物語の展開を見直したことで、アンケート順位は最終回までに1位まで上昇。後半で大きく人気を伸ばしただけに、早期終了が惜しまれる作品となった。
■宝剣を手に宝探し!『ジパング宝王伝』
最後は、『中華一番!』シリーズで知られる小川悦司さんが、小笹和俊さんの原案をもとに描いた『ジパング宝王伝』。『週刊少年マガジン』2001年9号から始まった、宝探しを題材にした作品だ。
父の形見である宝剣「ダマスカス」を携えた主人公の響鳶雄(ひびき・とびお)は、物語の舞台・長崎で、司馬雛子をはじめとする司馬家の人々とかかわり、宝探しに挑む。早々に宝探しの才能を発揮する鳶雄だが、各地には命を脅かす罠も待ち受け、宝剣「ダマスカス」の力が試されることになる。
飄々としてつかみどころのない鳶雄は、瞬時に機転を利かす力や、厳しい局面を打開する見事な剣さばきを見せる。時には愛猫・楽太郎とのほほ笑ましいやり取りもあり、いろんな表情が垣間見える魅力的なキャラクターだ。
スケールの大きな冒険譚で読み応えのある作品だったが、連載は同年24号で終了。小川さんはコミックの最後に、自身が入院したこと、耳の持病が悪化したことで、連載を休止せざるを得なかったと明かしている。司馬家の謎、父子の因縁など今後の広がりが期待できる展開だっただけに、物語を最後まで見届けられなかった点が惜しまれる。
なお、のちに発表された『フードハンター双雷伝』は、『ジパング宝王伝』の1世代前を描いた関連作品だ。鳶雄の父・雷蔵と、司馬家の父・雷鳳が、珍しい食材を求めて冒険を繰り広げる作品で、本作を読んでからそちらを読むと、登場人物のつながりも楽しめる。
たとえ連載期間は短くても、それぞれ異なる魅力があった3作品。代表作をきっかけにファンになった人も、ぜひ知っておきたい知られざる名作たちだ。
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