■「そろそろお尻を出すのはやめようと思ってる」
――2009年12月から1年間300日、箱根湯本温泉・天成園で歌謡ショーを開催しました。
清水 あれがあったから、いまの俺がいるんだよ。なかったら終わってた。例えば、1時間の営業があるとすると、音響や照明といった機材を使うと60万円は経費がかかる。終わったらすぐに撤収しなきゃいけないから「あのときに音が出なかった」「あそこで光がこなかった」と反省する暇もない。そういうことに、もう、うんざりしていたんだ。そんなとき、天成園の会長から「1年間やらないか」と声がかかった。
真っ暗のなか、ピンスポットがあたると俺が立ってて、スモークが炊かれて、ドライアイスが出て、サビで雪がバーッと降ってくる……「そんなことをやりたい」と伝えたんだ。そんな演出ができる設備を整えると2000万円以上かかるんだけど、そこは、1年やるわけだから。
――減価償却できると。
清水 そう。普通の営業だと撤収だなんだでスタッフが12人くらい必要だけど、天成園なら2人でいい。ただ、2泊、3泊してショーを連夜で観るお客さんもいるわけだ。そうなるとBパターンも作らなきゃいけない。結局、60分のショーを3パターン作った。「先月来て楽しかったからまた来ました」というお客さんもいるわけ。「1曲目はなんでしたか?」と聞いて、被っていたら「ここから変わりますよ」と、2曲目から違うパターンをやる。お客さんは「私のひと言で変わったんだ」と喜んでくれるんだ。楽しいから10日泊まったお客さんもいて。どこに行ったか知らない家族から捜索願を出されてたことがあるんだよ(笑)。
――本人はものまねを見てた(笑)。
清水 ショーが終わって、女房と坂を降りながら満点の星空を眺めて帰るんだ。こんな幸せなことはないよ。しかも、芸を磨くこともできるわけだからね。
――13年12月、ものまね番組を卒業します。
清水 倅に橋渡しをしたかったんだよね。倅が俺に勝つこともあったから、俺が天井になって塞ぐより、大空になったほうがいいんじゃないかと思って。
――ものまね番組は卒業しても、営業などでネタは続けているんですよね。
清水 もちろん。ただ、そろそろお尻を出すのはやめようと思ってる。
――(笑)。ケツ出しの引退は考えていると。
清水 考えている(真剣な眼差しで)。あとは、絶対叶わないけど、客席から舞台に立ってる自分を観てみたい。鏡や映像じゃなくて、肉眼で観たいんだ。俺のケツ見たら、どんな気持ちになるんだろう……ってな。
【プロフィール】
大貫真之介(おおぬき・しんのすけ)
ライター、編集者。TV局ADや編集プロダクション勤務を経てフリー。アイドルやお笑い、プロレス、80年代文化など多岐にわたるジャンルで多くの雑誌に寄稿。主な著作に『私がグループアイドルだった時』(双葉社)などがある。
【プロフィール】
清水アキラ(しみず・あきら)
1954年、長野県生まれ。大学2年時にTBS『銀座NOW』への出演をきっかけに芸能界入り。その後、ザ・ハンダースを結成、78年、『想い出の渚』で有線大賞の新人賞を獲得。86年、フジテレビ『ものまね王座決定戦』でチャンピオンとなり、以降、ものまね四天王の一角として活躍。


