■後悔は「せがれにそのまま言葉で伝えてしまった」こと

――コロッケさんは『ものまね王座』降板から2年後に『ものまねバトル』(日本テレビ系)に出演します。意識しましたか?

清水 何もない! あの番組に競争心を抱くことはなかった。上にはこないと思っていたから。

――コージー富田さんや原口あきまささんといった、トークで笑わせるものまねにはどんな印象がありますか?

清水 「こう観てほしい」と、視聴者に「教えてあげている」感じがするんだよね。俺とは違うな。例えば、俺はステージでお客さんに手拍子を求めたことが一度もない。お金を払っているお客さんに「手を叩け」と強要することが嫌なんだ。ものまねを観ているお客さんって、前のめりじゃなく、背もたれに寄りかかっているんだ。つまり、みんな「自分よりバカな奴」を観に来ている。だから、俺たちはその期待に応えなきゃいけないんだ。

――カッコいいですね。

清水 後悔があるとすれば、せがれにこういうことをそのまま言葉で伝えてしまったこと。ステージで感じ取ってくれたらよかったけど、面倒くさいから引っ張り上げてしまった。

――清水さんはスナックまわりをしながら、この考えを培ってきたんでしょうか?

清水 そう。ふんぞり返ってるお客さんには下から潜り込むようにいくんだ。決して見下ろしちゃいけない。本当の芸人って、出てくるだけで笑われるんだよ。林家三平さんやケーシー高峰さんなんてそうだったでしょ。

――ものまね芸人にはコピー派とパロディ派がいると思います。コピー派が流行った時期もありましたが、清水さんはどう見ていましたか?

清水 松浦(航大)くんとか荒牧(陽子)さんとかね。俺はコピー派のものまねを観ると「似ているから何?」と思っちゃうんだ。(声帯模写芸人の)桜井長一郎さんだって、ただものまねをしているわけじゃなくて。長谷川一夫さんの口調で「おせん、俺はやらなきゃならねぇ。おせんにキャラメル」と言うからおかしいんだよ。
 いまはAIが出てきているでしょ。AIに昔の演歌を歌わせたら上手くて敵わないよ。音を外すことがないし、年をとることもない。『紅白歌合戦』に出る歌手が全員AIなんて時代がくるかもしれない。AIが本人を超えようというのに、そのままコピーしてもしょうがないじゃない。ものまね芸人はAIになっちゃいけないんだ。

――AIはセロテープを貼れないですからね。

清水 そう。AIは俺たちみたいなものまねはできない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4