■『ダイヤのA』熱い挑戦者の戦いを見せた鵜久森高校

 最後は、2026年10月11日からアニメの続編シリーズの放送が予定されている『ダイヤのA』(寺嶋裕二さん)から、パッションあふれるダークホースとして読者を魅了した鵜久森高校を取り上げたい。

 鵜久森はリーゼントがトレードマークの4番エース・梅宮聖一と、野球部の頭脳を担うマネージャー・松原南朋を中心に結束されたチームだ。強豪と呼ぶには実績に乏しかったが、秋季大会で優勝候補の稲城実業高校を下したことをきっかけに、東京中からマークされるダークホースにのし上がった。

 鵜久森の魅力は、梅宮を中心としたアグレッシブなスタイルだ。自分たちが格下だと自覚しているからこそ、挑戦者として盗塁やフルスイングといった積極的なプレーを繰り返し、観客をも巻き込んで試合のペースをつかんでいく。そのひたむきで前向きな姿勢は、多くの読者の胸を打った。

 秋季大会では青道高校に敗れて甲子園には届かなかったが、本編が最終回を迎えた後に発表された番外編『ダイヤのA act2 外伝 帝東VS鵜久森』にて、甲子園常連校の帝東高校と甲子園出場をかけた死闘を演じている。鵜久森らしい熱戦が描かれており、『ダイヤのA』ファンで未読の方はぜひチェックしてほしい傑作だ。

 

 「野球は筋書きのないドラマ」とよく言われるが、ダークホースが強豪校を打ち破る大金星は、まさにその言葉を象徴する出来事だ。すべての試合で格上が順当に勝利するわけではなく、時に格下の挑戦者が必死に食らいつき、大逆転を果たすこともある。そうした予測不能な逆転のドラマこそが、現実でも漫画でも人々を魅了するのだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3