■「静岡」が舞台となる可能性

宇内:まさに、『サイレントヒル f』は精神性をより深く描いた、文学的な作品でした。『サイレントヒル f』が「サイレントヒル」シリーズに与えた「新しい可能性」はどんなところにあるでしょうか。

岡本:やっぱり、「自由度」でしょうか。本作は日本が舞台ですが、「舞台はどこでもいいんだ」という発想を与えられたことは大きいと思います。やはり「舞台が絶対にサイレントヒルじゃなきゃいけない」とか、「アメリカの田舎町だけを舞台にする」といった狭い発想では、なかなか良いアイデアが出ないと思うんです。もっといろいろな視点でゲームを作っていいと思うんですよね。ロシアでも中東でも中南米でも、いろいろな舞台でホラーを作っていい。その地域の土着信仰をめぐるホラーなんて、とても面白そうじゃないですか。

写真/有坂政晴

宇内:先ほど(第2回)、竜騎士07さんが今回の『サイレントヒル f』の舞台に「静岡」を検討していたというお話がありましたが、伝家の宝刀のように「静岡」が舞台となる……ということも許されているんでしょうか。

岡本:個人的には、それもいいんじゃないかなとは思っていますね。誰か他のクリエイターが考えるかもしれませんし、将来的に可能性はあるかもしれません。ただ、(採用するにあたっては)アイデアが必要だとは思っていますね。

宇内:ファンの間では、「静岡」という愛称でずっと愛されてきた「サイレントヒル」シリーズが、本当に「静岡」を舞台にしたら、大きなお祭り騒ぎになりそうな予感がありますので、いつの日か実現することを期待しています。

岡本:ありがとうございます。今後「サイレントヒル」シリーズに関わるクリエイターは、『サイレントヒル f』を物差しにすることで、「舞台が日本でいいのなら、新作はこうしよう」と新しい切り口で作品作りに臨めると思うんです。そうやって「サイレントヒル」シリーズの世界観を広げ、クリエイティビティの自由度を高めることができたのが良かったと思います。

宇内:クリエイターの自由度を高めることで、面白いテーマのゲームを作ることができる、ということですね。

岡本:そうですね。最初に「サイレントヒル」シリーズのプロデュースを任されたときは、世界中で愛されている人気ドラマのような存在にしたいなと思ったんです。動画配信サービスの人気ドラマでは、重いテーマやバッドエンドになりそうな尖ったテーマのドラマ作品を数多く、しかも高いクオリティで作り続けています。同じように「サイレントヒル」シリーズも、現代的なテーマをハイクオリティで作っていくシリーズにしたいと考えていたんです。

宇内:最後に、「サイレントヒル」シリーズファンの皆さんに、メッセージをお願いします。

岡本:『サイレントヒル f』が思った以上に、国内で大きな反響をいただけて、本当に嬉しく思っています。『サイレントヒル f』を楽しんでくださった方々には、漫画版をはじめ、さまざまなかたちで追加の情報をこれからもお届けしたいと考えていますので、これからもよろしくお願いいたします。

宇内:漫画版や追加の情報で、ゲームでは判明しなかった事実が明かされていく……ということもあるわけですね?

岡本:漫画版では特に、これまで語られなかったことを明かしています。ぜひ、漫画版や小説版を楽しんでいただければ嬉しいです。

宇内:今後の『サイレントヒル f』の展開を期待しています。そして、『サイレントヒル:タウンフォール』もプレイできるのを楽しみにしています!

 

写真/有坂政晴

©Konami Digital Entertainment

【プロフィール】
宇内梨沙(うないりさ)
ポップカルチャーを心から愛する元アナウンサー。2015年、TBSテレビに入社。アナウンサーとして多数の番組を担当する一方、ラジオやYouTubeなどでゲーム偏愛を披露。2025年にTBSを退社し、現在は『Twitch』でゲーム配信者として活動中。

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