KONAMI岡本基プロデューサーが明かす「サイレントヒル」シリーズのこれから 次回作は「舞台が静岡」の可能性も…!?【宇内梨沙「ひねもすぬまりぬまりかな」】の画像
写真/有坂政晴

 今回の『宇内梨沙「ひねもすぬまりぬまりかな」』は特別編! 宇内さんが、発売1周年を迎えた大ヒット作『SILENT HILL f(サイレントヒル f)』コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)の岡本基プロデューサーを直撃! 複数の結末が存在する本作を、トゥルーエンドまで遊び尽くした宇内さんだからこそ聞ける「ネタバレ上等」の質問をたっぷりぶつけます。作品愛に満ちたディープなトーク「宇内が訊く!」をお楽しみください!!

【第4回/全4回】

※本記事は『サイレントヒル f』の核心部分の内容を含みます。

【ゲスト】
コナミデジタルエンタテインメント
「サイレントヒル」シリーズプロデューサー・岡本基氏

KONAMI岡本基氏 写真/有坂政晴

■予想を超えた、海外での反響

宇内梨沙(以下、宇内):『サイレントヒル f』は純和風の世界が描かれています。それが海外のプレイヤーからも評価されたことは、どのように受け止めていますか。

岡本基プロデューサー(以下、岡本):ビックリしましたね。正直、海外のユーザーさんがどこまで理解してくださってるのか、いまだにちょっとわからないところもありますが、思った以上に刺さったのかなとは感じています。アジアのオリエンタリズムや、日本人じゃないとわかりにくい風習や文化などもあると思うんです。でも、特に本編のビジュアル面、アート面のインパクトが強かったので、言葉にしなくても価値観や雰囲気を理解していただける作品になったのではないでしょうか。

宇内:たとえば「彼岸花」はまさにそうですよね。『サイレントヒル f』のアートワークには彼岸花が使われていますが、日本人ならばどういう花なのか、ある程度イメージできますから、そこに不吉な印象を重ねることができると思うんです。でも、海外のプレイヤーはもしかしたら、そのイメージを抱けないかもしれませんよね。日本と海外でどちらを重視するのかというところにもつながりますが、そのあたりはどうお考えだったのでしょうか。

岡本:そもそも「サイレントヒル」シリーズをプレイしている人の多くは海外ユーザーなんです。そういう意味では、海外ユーザーを意識した作り方をしなくてはいけないシリーズだと思っています。今回の『サイレントヒル f』も、日本のユーザーの割合は大きくなりましたが、やはり欧米のユーザーの規模が大きいのが実情です。
 おそらく、彼岸花についても、海外ユーザーの中には日本的な意味がわかっていない方が多いと思います。ですが一方で、彼岸花の存在感は感じてくださっているようなんですね。パッケージでは、彼岸花が雛子の顔に寄生しているように見えるビジュアルになっていますが、色合いも含め、不気味さやおぞましさのようなものは伝わったのではないかと。やっぱり世界観を伝えるうえで、ビジュアルの力は大きかったと考えています。

■「サイレントヒル」シリーズのリブランディング

宇内:今、KONAMI社内における「サイレントヒル」シリーズの立ち位置は、どのようなものでしょうか?

岡本:KONAMIのハイエンドゲームシリーズの中で、先頭を切ってリブートをかけたタイトルのひとつだったので、本作の結果に関しては、会社としても一定の成果として受け止められているのかなと思います。逆に今うまくいっているからこそ、「もっと高いハードルを設定していかなきゃいけないよね」みたいなところもあって。自分たちで新しいハードルを自ら設定し、それを目指そうとしています。

宇内:岡本さんは「サイレントヒル」シリーズのリブランディングを任されている立場でもあるかと思うのですが、プレッシャーに感じられることもありましたか?

岡本:そうですね。プレッシャーは……結構ありました(笑)。『SILENT HILL 2(サイレントヒル 2)』(リメイク版)、『サイレントヒル f』『SILENT HILL: Townfall(サイレントヒル:タウンフォール)』の3作を2022年に発表したのですが、その後、しばらくは、かなりプレッシャーを感じていました。

宇内:そうなんですね。

岡本:発表した後で、改めてその大きさを実感したんだと思います。それから1年くらいはずっと緊張感が続いており、体調が良くなかったですね。ただ、『サイレントヒル f』の発売が迫ってくると、逆に腹が据わってきたのか、体調も元に戻りました。でも、かなりストレスを感じた1年間ではありましたね。

宇内:岡本さんはそれまでも多彩なゲームを手がけてこられて、いわゆるサイコロジカルホラー作品は2022年に発表された「サイレントヒル」シリーズ3作が初めてだったと思います。まったく毛色の違う作品を任されることになったお気持ちはいかがでしたか。

岡本:正直、「なんで僕がホラーなんだろう」みたいな気持ちは、ちょっとだけありましたね(笑)。ただ、僕は本を読むことが好きなんです。以前から「サイレントヒル」シリーズは文学的な作品だと思っていたので、自分に照らし合わせて考えたときに、相性の良さは感じましたね。
 だから、作品のテーマ性にはあまり悩まなかったんです。たとえば『サイレントヒル f』の「結婚」というテーマについても、「小説ならこういう重いテーマを扱うことは普通にあるよな」みたいな感覚がありました。僕の中には「小説」という物差しがあって、「文学だったらこれくらいは表現するだろう」と考えているんです。小説で扱っているテーマなら、ゲームでやってもいいんじゃないかと。

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