■各地に銅像を残した真意
旅の道中、ヒンメルは行く先々で自分の銅像を建てさせていた。おかげでフリーレンが現在たどる旅路でも、各地でヒンメルの銅像に遭遇する。それは一見、彼のナルシストな面を示すエピソードのようにも見える。しかし、その裏にはフリーレンに対する深い思慮が隠されていた。
エルフは長寿の種族だ。自分たち人間は遅かれ早かれ、フリーレンを残してこの世を去る。そうなれば、勇者一行の功績も忘れ去られ、フリーレンは歴史の中に埋もれて孤独になってしまうかもしれない。
ヒンメルはそのことを理解していたからこそ行動に出た。アニメの第7話「おとぎ話のようなもの」で明かされた、彼が銅像を作り続けた本当の理由。それは、各地に勇者一行の伝説を形として残し、自分亡き後もフリーレンに寄り添い続けることだったのだ。
「一番の理由は、君が未来で一人ぼっちにならないようにするためかな」。銅像を建てる理由を問われた際、そう語ったヒンメルの目は、フリーレンの未来に向けられていたのである。
そんなヒンメルの強い想いがあり、勇者一行の冒険は彼の目論見通り、今もなお語り継がれる伝説となっている。彼の願いがかなったかどうかは、現在のフリーレンが仲間とともに旅する姿を見れば明らかだろう。
フリーレンの人生を大きく変えた勇者ヒンメル。彼の愛にあふれた言動は、死してなおフリーレンの心に影響を与え、彼女を人間的に成長させた。かつての旅路を回想する中で、フリーレン自身もヒンメルが注いでくれた愛の大きさに少しずつ気づき始めている。
ヒンメルの想いが、長い時を超えてフリーレンに届く日は来るのか。多くのファンが、その瞬間を心待ちにしているのではないだろうか。


