鳥山明さんの不朽の名作バトル漫画『ドラゴンボール』。本作に登場する人造人間18号といえば、クールで勝ち気な性格が印象的なキャラクターである。
彼女が初登場した「人造人間・セル編」ではZ戦士たちを圧倒する強さを見せつけ、当初はクリリンにも特別な感情を抱いている様子はなかった。ところが、物語が進むにつれて2人の関係は変化し、やがて結婚。娘のマーロンも誕生し、物語の終盤ではすっかりクリリンの“良き妻”としての一面が定着していた。
そんな2人の関係性は、アニメやゲームといった漫画以外のメディアでもさまざまな形で描かれている。そこでは、原作とはまた違った18号の表情や、クリリンへの深い愛情が垣間見える場面も少なくない。
そこで今回は、原作派の人が思わず「こんな18号の姿もあったのか!」と驚いてしまうような、クリリンへの愛情が伝わる名シーンを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■「私がホレた男は…」クリリンへの想いをさらりと告白する『ドラゴンボール超』
まず紹介したいのが、アニメ『ドラゴンボール超』の第75話「悟空とクリリン 懐かしの修行の場へ」での一幕だ。このエピソードでは、武道家を引退して警察官として働くクリリンが、銀行強盗との銃撃戦で仲間をかばって銃弾を受け、負傷してしまう。
その後、クリリンの自宅を訪れた悟空が修行に誘うと、18号は負傷した夫を見て「まさか拳銃に撃たれたくらいでケガするなんてね」と、相変わらず素っ気ない態度を見せた。
これにクリリンが反論すると、18号は「私がホレた男は——そんなグズグズした弱い男じゃなかったんだけどね」と告げる。
ふだんの彼女らしい辛辣な物言いではあるが、よく考えれば「私がホレた男」というのは、かなり大胆な愛情表現だ。そして、その言葉を聞いて奮起したクリリンは、再び修行することを決意するのである。
これは単に夫を責めるのではなく、「ホレた男」だからこそ強くあってほしいという彼女なりの激励だった。その想いを落ち着いた口調で伝え、さらりと夫のやる気まで引き出してしまう。この場面は、そんな18号の「イイ女」ぶりが光る名シーンといえるだろう。
■クリリンを殺されて涙…17号に立ち向かう『ドラゴンボールGT』
18号のクリリンへの愛情が、もっとも激しく、そして切なく描かれた場面が『ドラゴンボールGT』の第44話「究極の人造人間!二人の17号合体」かもしれない。
この回では、ドクター・ゲロとドクター・ミューの策略によって操られた17号が、クリリンたちの敵として立ちはだかる。まるで「未来トランクス編」での残忍さを思い起こさせるような冷酷さで、クリリンはあっけなく殺害されてしまうのだ。
最愛の夫を目の前で失った18号は、涙を流しながら「クリリンを返せ!」と叫び、双子の弟である17号に殴りかかる。いつも冷静沈着な彼女が、怒りと悲しみの感情を抑えきれず、必死に攻撃を繰り出すのである。しかし、その力は及ばず、娘のマーロンを逃がした直後、18号もまた17号に倒されてしまう。
重傷を負いながらも、18号はクリリンのもとへ這うように近づいていく。その脳裏には、彼の頬にキスをしてからかった場面や、神龍への願いで体内の爆弾を取り除いてもらった場面など、クリリンとの大切な思い出がよみがえる。これらの出来事が、18号にとってかけがえのない宝物だったことが痛いほど伝わってくるシーンだ。
そして18号は、クリリンのそばで「好きだったよ……クリリン」と言い残して意識を失うのである。
ふだんはクールな18号が涙を流し、命をかけてクリリンの仇に立ち向かう……。シリーズ全編を通しても、彼女のクリリンへの深い愛情が、これほど強く描かれた場面はほかにないだろう。


