1986年より連載が開始された、荒木飛呂彦氏の名作バトル漫画『ジョジョの奇妙な冒険』。本作では、精神エネルギーを具現化した特殊能力「スタンド」を用いた戦いが数多く描かれてきた。
老若男女問わず、さまざまなスタンド使いたちが登場するなか、心身ともに未成熟でありながらスタンドを宿した、驚くべき子どものキャラクターも登場した。その多様な能力はもちろんのこと、ときには子どもらしからぬとんでもない行動で、主人公たちを予期せぬ窮地に陥れたこともある。
今回は、無邪気な姿で思わぬ強敵と化した、恐るべき子どものスタンド使いたちについて見ていこう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■極悪非道な天才児…マニッシュ・ボーイ
第3部では、宿敵・DIOを倒すため、エジプトを目指すジョースター一行の道中が描かれた。数々の刺客が立ちはだかるなか、卑劣な手段で一行を追い詰めたのが、偶然出会った赤ん坊「マニッシュ・ボーイ」だ。
一見すると生後間もない赤ん坊なのだが、その正体は生まれながらに高い知能を持つ天才児である。生後11か月にして大人顔負けの思考力を持つだけでなく、対象を夢の世界に引きずり込むスタンド「死神13(デスサーティーン)」を操り、ジョースター一行を抹殺すべく襲いかかってくるのだ。
相手のスタンドを封じて一方的に蹂躙する極悪非道な能力は、一行を分断し、精神的にも追い詰めた。
スタンド能力も脅威だったが、特筆すべきは子ども離れした狡猾さと残忍極まりない行動の数々である。
たとえば、砂漠に生息するサソリが襲いかかってきた際、安全ピンによってそれを突き刺し、返り討ちにしている。さらに一行に気づかれないよう、そのサソリの死骸を口の中に含んで隠すなど、とんでもない手口で周囲を欺き続けた。
また、大人顔負けに煙草をふかす姿も見られ、幼く可愛らしい見た目とのギャップは、読者に言い知れぬ不気味さを与えた。
作中では両親や生い立ちについて、いっさい明かされていないが、牙のように尖った犬歯を持っているなど、その外見からも彼が一般的な赤ん坊とは一線を画す存在であることが示唆されている。
幼さを隠れ蓑に、じわじわと一行を悪夢の世界に引きずり込んだ、まさに死神のような存在といえるだろう。
■強運の力を引き寄せる少年…大柳賢
第4部では日本の杜王町に舞台を移し、そこに潜むスタンド使いたちの奇妙な日常が描かれた。
これまでとは一風変わった能力バトルが大きな見どころだが、特に意外な能力で主要キャラを追い詰めたのが、通称「ジャンケン小僧」こと大柳賢だ。
彼は、町で取材をしていた漫画家・岸辺露伴の前に現れた少年で、なぜか執拗にジャンケンをしようと、あの手この手で迫ってくる。
最初こそ適当にあしらっていた露伴だったが、ジャンケンに敗北したことで、賢のスタンド「ボーイ・II・マン」の術中にハマってしまう。
ジャンケンで勝利するたびに相手のスタンド能力を奪うという強力な能力だが、真に恐ろしいのは、勝利を重ねることで自信をつけ、戦いのなかで精神的に急成長を遂げた点にある。
はじめこそ駄々をこねたり、ジャンケンに負けて涙したりと、年相応の姿を見せていた賢は、後半になると姿が一変。自身の能力を理解し、冷静沈着に相手を追い詰める姿は、あの露伴すら圧倒するほどだった。
終盤になると、賢は自身の強運を信じ切り、それに伴ってますます行動も過激になっていく。なんと彼は頭上高くにあるガラスを割り、降り注ぐガラス片をその身に受けるという常軌を逸した行動に出るのだ。
だが、強運を味方につけた賢はいっさい傷つくことなく生還し、露伴はただ唖然とする他なかった。
作中でもかなり異色だった奇妙なジャンケンバトルは、のちに放送された実写ドラマ『岸辺露伴は動かない』でも忠実に再現されている。破天荒すぎるジャンケンバトルの結末は必見モノだ。


