■劇場版での活躍も見逃せない
スケールの大きな事件が描かれる劇場版でも、目暮警部はたびたびカッコいい姿を見せてくれる。たとえば第10作目『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』では、彼の覚悟と優しさが描かれた。
犯人は、過去のある事件の真相を突き止めるために、コナンをはじめとする探偵たちに謎解きを強要した。おまけに彼らの腕には、制限時間内に解決できなければ爆発する腕時計型のフリーパスIDが付けられていた。
フリーパスIDを渡されていたのは探偵たちだけでなく、毛利蘭や少年探偵団といった人質も同様だった。そのため、探偵たちは自分自身や大切な相手の命を守るため、必死で推理に挑むこととなる。しかし、紆余曲折を経て謎解きに成功するも、爆弾の解除は難航した。
爆発まで残り数分と迫る中、人質たちは警察に囲まれて一か所に集められていた。爆発を想定し、周囲の人たちを避難させたため、辺りには彼らだけという状況に。そんななか目暮警部は、阿笠博士の「1分前になったら中に入る」「子どもたちだけにしておくわけにはいきませんから」という言葉に、渋い笑みを浮かべ「そうだな…」と応じる。
子どもたちが不安にならないよう、爆発に巻き込まれることを覚悟して彼らに寄り添おうとする2人。決して派手なシーンではないが、まさに「カッコいい大人」のお手本のような姿であり、シビれたファンも多いことだろう。
また劇場版第13作目『名探偵コナン 漆黒の追跡者』では、目暮警部が体を張って活躍する場面があった。
警察にマークされていた逃亡犯が、張り込みの末に逮捕された直後のこと。その恋人である吉井リサが逆上し、隠し持っていたナイフで長野県警の上原由衣に襲いかかる。突然の出来事に大和敢助も止められない中、目暮警部は2人の間に割って入り、腹部を刺されてしまう。リサは自分のしでかしたことに驚き、ナイフを取り落とした。
そして目暮警部は、罪悪感に苛まれているリサを怒るのではなく、「これ以上罪を重ねなくていい」と優しく諭す。自身の負傷よりも相手の未来を案じる姿勢は、いかにも目暮警部らしい。さらに、刺された傷を大したことはないと語る姿も、余計な心配をかけまいとする彼らしい気遣いに見えた。
意図的に人を不幸に陥れる犯人は決して許さないが、意図せず過ちを犯してしまった者や、更生の余地がある者には寛容なところも、彼の人柄がにじみ出ている。
目暮警部は、どちらかというとおっとりしていて、とても切れ者には見えないが、いざという時はやる男だ。必要とあらば、自分の身を犠牲にしても犯罪を食い止めようとする強い意志を持っている。
そして彼が多くの部下から慕われているのは、その人柄や警察官としての矜持を行動で示してきたからだろう。『名探偵コナン』において決して目立つ存在ではないが、多くのファンから愛され続ける理由は、これまでの彼の言動に詰まっている。


