■信じているからこそフェルンに無茶振りしがちなフリーレン

 最後に取り上げたいのが、本編の時系列において現在進行形で活躍中のフリーレンとフェルンの師弟関係だ。ゼーリエすら驚かせたフェルンの才能を信じるフリーレンは、その期待の大きさから彼女に“むちゃ振り”ともいえる試練を与えるシーンが目立つ。

 たとえば、漫画の第73話にて、「霧を操る魔法(ネベラドーラ)」を使う魔族・ヘモンに強襲された際、フリーレンは戦いのすべてをフェルンに任せている。

 フェルンが「相手は格上です」と弱音をはいても、フリーレンは「私はそうは思わない」と笑顔で返すのみで、本当にいっさい手出しをしなかった。これは師からの“愛の鞭”ともいえ、フリーレンなりの愛情表現なのだろう。

 戦いを任されたフェルンは苦戦したが、一級魔法使い・メトーデのサポートもあって無事に魔族を撃退する。結果としてはフリーレンの言う通りになり、彼女は「やるねフェルン。流石だ」とすべて見抜いていたかのようなセリフで弟子を褒め称えた。

 フェルンの才能を信じているからこそ、あえて死線をくぐらせるようなむちゃをさせるフリーレン。これもまた、「弟子への愛」の1つの形といえよう。もっとも褒められた当の弟子は「二度とこんなきつい戦いはしたくないです」と、やや不満げな様子だったが……。それもまた、この師弟らしいほほ笑ましい光景である。 

 

 ゼーリエからフランメ、フランメからフリーレン、そしてフリーレンからフェルンへと長い時をかけてつながっている師弟の絆。そこには師匠から弟子への深い愛情が感じられた。人から人へと受け継がれていくものは、何も魔法の技術や知識だけではないのだ。

 これは余談だが、いつか大人になったフェルンが弟子をとることがあるとすれば、彼女はどのような師匠になるのかも興味深い。まだまだ遠い未来の話だが、そんな姿を想像するのも本作ならではの楽しみ方かもしれない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3