株式会社ニトロプラスが世界観・シナリオ・キャラクターデザインを担当している刀剣育成シミュレーションゲーム『刀剣乱舞ONLINE』の刀剣男士たちが登場するパズルRPGスマホアプリ『刀剣乱舞ぱずぎり』が、9月24日にリリースされた。
これまで『無双』シリーズとコラボしたNintendo Switch・PC向け3Dアクションゲーム『刀剣乱舞無双』はあったものの、スマホアプリでの派生作品は初となる。
キャッチコピーは「つなげて、まとめて、すぱっと斬る!刀剣男士と出陣!お手軽爽快ぱずる!」で、これまでの『刀剣乱舞』にはなかったパズル要素が特徴。リリース前の事前登録者数は50万人を達成するなど大きな話題を集めていた。
『ぱずぎり』はデフォルメされた刀剣男士の姿に加えて、「ハート」という名のライフを消費して戦う仕組み。「召喚」という名のガチャ要素があり、スマホゲームをよく遊ぶ人にとってはなじみのあるプレイ感だが、『刀剣乱舞』一筋のファンにとってはどれもが新鮮に映ることだろう。
それもそのはず、元々『刀剣乱舞ONLINE』というゲームは、他のアプリゲームとは一線を画したゲームスタイルを貫いているのだ。
そこで今回は2015年にリリースされ、11周年を迎えてもなお人気コンテンツであり続ける『刀剣乱舞』の魅力をあらためて紹介したい。
『刀剣乱舞』は元々ブラウザゲームとして、2015年1月14日に産声をあげた。プレイヤーは「審神者(さにわ)」となり、刀剣男士と呼ばれるキャラクターを収集・強化し、日本の歴史を変えようとする敵「時間遡行軍」を討伐していく。何を隠そう筆者も審神者11年の古参であり、ふだんゲームをしない筆者が唯一続けているゲームである。
『刀剣乱舞』は自身で選んだ6振の刀で編成を組んで敵と戦うが、そこに細かなゲーム技術は必要ない。出陣したら敵と味方で2ターンずつ攻撃し勝敗が決まる。
ゲーム開始当初はそれぞれのキャラクターには4種類の立ち絵しかなく、性格や個性を知る機会も、顕現時のセリフや、内番や回想での他のキャラクターとの短い会話のみとわずかなものだった。また、いわゆるメインストーリーというものも存在しない。
この手のゲームにありがちな課金要素もかなり少なく、課金をしなければ強くなれないということもない。特筆すべきは、ガチャのようなものはなく(「鍛刀」という、手持ちの資材を使ってキャラクターを顕現させることはできるシステムはあるが、他のゲームのガチャとはかなり様相が異なる。初期にはいわゆる天井も設定されていなかった)、他のプレイヤーとのフレンド機能もなければ、イベントにおけるランキング制度もないことだ。
そのため一部のプレイヤーからは「ゲーム性が少ない」と指摘されることも少なくなかった。それでもこのゲームには、他にはない魅力があったのだ。誰に焦らされることもなく、自分のペースとタイミングで気軽にプレイでき、他人との交流がないことでかえって「自分だけの居場所」となる。本編で語られない余白を楽しめる部分が、ファンの間で「実家のような安心感」だと話題になった。それに、たとえずっとプレイしていなかったとしても、このゲームは私たちを置いていかない。
もちろん11年も経てば、さまざまな面が改修されている。2023年4月の大型アップデートでUIが一新された他、今ではオート戦闘も追加され、キャラクターの衣装も増えた。刀剣男士と一緒にお散歩できる「御伴散歩」機能で、実際に歩いた場所にピンを立てて記録をつけることもできる。
もちろん、それでも他のゲームに比べると確実に遊べる要素は少ない。しかし「変化が多いと疲れる」「変わらないことで安心する」といった声も多く、日本刀という歴史に長く存在するモチーフとファン層がこれ以上なくマッチしているように感じる。
ゲーム自体にストーリーはほぼないが、アニメやミュージカル、舞台、実写映画、歌舞伎などのメディアミックス展開は多く、それぞれ主人公となるキャラクターを変えてさまざまな時代を舞台にしたストーリーが繰り広げられる。直近では、2026年10月にアイスショー『刀剣乱舞 - ICE BLADE -』が国立代々木競技場にて公演予定だ。
またゲームに登場する日本刀にゆかりのある博物館や美術館、神社、自治体との公式コラボレーションも多く行われ、地域活性化にも一役買っている。
筆者としては『刀剣乱舞』という大元に干渉しない形で、新たにお気に入りのキャラでゲームをプレイできるのは嬉しいところだ。『刀剣乱舞』における安心感は先に述べた通りだが、一方で新作の『ぱずぎり』はゲーム性が高い。この2つのゲームが相乗効果で、どのような新しい風を生み出してくれるか楽しみである。


