シリーズの原点であるアニメ『機動戦士ガンダム』(1979年)の放送開始から、今年で47年を迎えた。同作の見所はたくさんあるが、やはりモビルスーツに代表される多種多様なメカの魅力は大きいだろう。とくに高性能かつスタイリッシュな機体は人気があり、戦場での華々しい活躍が劇中で描かれている。
しかし、中には搭乗者の生存率や帰還率が極めて低そうな機体も存在する。アニメ『機動戦士ガンダム』に登場した機体では、ジムと編隊を組むボールは明らかに脆そうな見た目をしており、突撃艇であるパブリクやジッコなどの未帰還率は相当高かったとされている。
そこで今回は、ガンダムシリーズの宇宙世紀作品に登場した、生還率が極めて低そうな機体をピックアップ。なぜそのような機体が生まれたのか、あらためて振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■あまりにも危険すぎた偽装モビルスーツ
MEIMU氏が作画を手がけたコミック『機動戦士ガンダム MS IGLOO 603』(KADOKAWA)に収録された「蝙蝠はソロモンにはばたく」というエピソードには「ゲム・カモフ」という機体が登場する。
同機は、劣勢に立たされたジオン公国軍が既存のモビルスーツをベースに改装を施したもので、敵軍である連邦機のジムに外装を似せて作られた。つまりジムの偽物であり、潜入工作や後方かく乱などに用いられた。
「ゲム・カモフ(GM Camouf.)」という名称は、ジム(GM)のドイツ語読みであるゲム+ドイツ語のカモフラージュを意味している。しかし、その偽装はとても完璧と呼べるような代物ではなく、よく見るとアイセンサーはジオン系のモノアイであり、背後から見るとバックパックへと伸びる動力パイプも丸見えだ。
実戦において、一度は敵の目を欺くことに成功するものの、鹵獲されたジム(ゲファンゲナー・ゲム)を含むジオンの部隊があるという情報は連邦陣営にバレていた。なんとか勝利をおさめながらも、最後は援軍としてやってきた事情を知らない友軍に撃たれて爆散するという、あまりにも悲惨な最期を遂げている。
ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』(バンダイナムコエンターテインメント)の解説文によれば、装甲を改装したことで機体重量は軽くなったものの、耐弾性は著しく低下。当然フレンドリーファイア時の生存率も低くなってしまった。
同機のデータ収集を担ったオリヴァー・マイ技術中尉は、敵軍からの誤認率の高さを認めながらも、自軍機との同士討ちが高確率で発生する危険性を指摘。「このような兵器の開発意義を問う」と、パイロットの生命を軽視するような開発コンセプトに疑問を投げかけている。
■ジオン版のボールは「ドラム缶の化物!?」
OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079-』には、ジオン公国が開発したモビルポッド「オッゴ」が登場。一年戦争末期、苦境に立たされたジオンが、数的劣勢をくつがえそうと「決戦兵器」の触れ込みで急造した機体である。
同機はドラム缶を横にしたような円筒状のボディに、ザク・マシンガンなどの既存の武装を流用して装備。その簡素な造りゆえに、低コストかつ短期間での量産が可能だった。
『週刊ガンダム・モビルスーツ・バイブル 96号』(デアゴスティーニ・ジャパン)の記述によれば、オッゴには、戦線が宇宙に移行したことで不要になった陸戦用ザクIIJ型などのジェネレーターを流用。そのため地球連邦軍のボールより総合性能は上だったとされる。
劇中では、一年戦争の最終局面であるア・バオア・クー攻略戦に32機のオッゴが投入。その搭乗者は少年兵であり、ジムとボールの部隊と激戦を繰り広げて9機のみが帰還した。
パイロットの大半が未熟な少年たちだったことを考えると、あの過酷なア・バオア・クーで9機帰還できたことは奇跡といえるかもしれない。また、オッゴとの共同運用前提で開発された巨大モビルアーマー「ビグ・ラング」の存在も大きかったと思われる。


