松本零士さんの不朽の名作『銀河鉄道999』。1979年の劇場版公開からおよそ半世紀が経った現在もその人気は衰えず、新作の劇場アニメーション作品のプロジェクトが進行中である。
本作は主人公の少年・星野鉄郎と、謎の美女・メーテルが銀河超特急999号に乗って宇宙を旅する物語だ。旅の道中ではさまざまな事件が起こるが、なかでも印象的だったのが、たびたび登場する「宇宙グルメ」である。
999号の食堂車で提供されるおいしそうなビフテキとは対照的に、立ち寄った星において常識で考えられないような“ヤバい料理”に遭遇することも多い。そこで今回は食べ方や素材があまりにも衝撃的で、強烈なインパクトを残した宇宙グルメを振り返りたい。
※本記事には作品の内容を含みます。
■ヘルメットは脱がずに頭からドリンクを飲む!「水の国シャイアン」
本作の中でも、特にシュールな食事シーンが描かれたのが「水の国のシャイアン」でのエピソード。この回では、メーテルの“男前な飲み方”が印象的だった。
名前の通り、星全体が水面に覆われたこの惑星では、生身の人間である鉄郎たちはヘルメットを着用し、潜水服姿で行動しなければならない。
そんな状況で、鉄郎とメーテルは大統領首相総統閣下の官邸に呼ばれ、パーティーでもてなされる。しかし、生命維持のためにヘルメットを脱ぐことができない鉄郎たちは、目の前のご馳走を食べることができない。
するとメーテルは、おもむろに潜水ヘルメットの頭頂部にある注水用の穴から瓶飲料を流し込み、「飲みものだけはなんとかなるわ」と言ってゆっくりドリンクを飲んだのである。当然、その飲料は顔にかかって長い髪も濡れてしまうが、そんなことは気にせずに笑顔で対応するメーテルの姿は実にワイルド。
それを見た鉄郎も真似をしてヘルメットに飲料を注ぐが、こちらは一気に入れすぎたためにヘルメットの中で溺れて気絶してしまう。こんな慣れない飲み方をすれば、鉄郎のように大惨事になるのは想像に難くない。いつでも冷静で、大胆不敵なメーテルの姿が際立つワンシーンだ。
■歯にヒビが…ベアリング入りコーヒー&プラスチックサンド「亡霊トンネル」
次に紹介するのは、生身の人間にはとても食べられない、機械化人ならではの食文化である。
「亡霊トンネル」のエピソードにて、999号は音を吸収しない轟音の響くトンネルに入り、停車してしまう。すると暗闇からイローゼという女性が現れ、鉄郎に「降りて私と遊んで……お願い……」と涙ながらに懇願するのだ。
結局鉄郎は、イローゼの家に行くことになる。そこで「コーヒーでも飲みますか」と勧められカップを口にするが、その中身はコーヒーではなく「ベアリング」という機械部品だった。
それを噛んでしまった鉄郎は痛みのあまりに怒り出すが、次に出されたのはおいしそうなサンドイッチ。「うまそう……」と喜んでかぶりついた鉄郎だが、それは鉄化プラスチックの食堂用サンプルで、今度こそ歯にヒビが入ってしまう。
こうして鉄郎は散々な目に遭うが、機械の体を持つイローゼはベアリングのコーヒーをおいしそうに飲んでいたのが印象的だ。
作中で機械化人がどのように栄養を補給しているのか明確に描かれていないものの、少なくとも彼らは生身の人間とはまったく異なるグルメを楽しんでいるのは間違いないだろう。


