■中川と本気の株バトルで中川コンツェルンを乗っ取った「投資家両さんの巻」

 ここまで50億円、100億円と桁外れの金額を紹介してきたが、最後に紹介する「投資家両さんの巻」(コミックス第148巻収録)で両さんが手にした金額は、もはや定かではない。ただ言えるのは、このエピソードで両さんが得た資産総額は、天文学的な数字に達したということだ。

 派出所での同僚との雑談で株式の仕組みを学んだ両さんは、電極+の誘いを受け、M&A(企業の買収)の世界に足を踏み入れる。最初は従業員20人程度の小さな電子メーカーを買収するという小規模なものだったが、その買収した企業が中川コンツェルンの子会社と合併したことから、状況は一変する。

 野心を燃やした両さんはファンドを設立し、中川家の親戚から株を買い集めるなど、あらゆる手段で中川グループ関連企業の株を買い占めていく。その最終目的はもちろん、世界的大企業である「中川コンツェルン」そのもののの買収だった。

 対する中川も、系列企業の切り離しや新株の大量発行で徹底抗戦の構えを見せる。『こち亀』の長い歴史においても非常に珍しい、両さんと中川の本気のバトルが勃発したのである。

 「世紀の買収劇」と称されたこの戦いを制したのは、手段を選ばず株の独占に成功した両さんだった。世界一の大企業・中川コンツェルンの価値は確実に兆を超える。その社長の席に両さんが座ったこの話は、間違いなく『こち亀』屈指の大儲けエピソードといえるだろう。

 しかし、あまりに強引なやり方で会社を乗っ取った両さんを歓迎する者はなく、わずか3日後の株主総会であっさりと中川コンツェルンから追い出されてしまった。なんともスケールの大きい「三日天下」であった。

 

 一つのエピソードで億単位、あるいはそれ以上の金額を稼ぎ出す両さんの才覚とバイタリティには舌を巻くばかりだが、その儲けを維持できないのが『こち亀』のお約束だ。

 今回紹介した3つのエピソードも例外ではなく、物語のオチか、次週以降の話では儲けがすべてなくなり、むしろ借金が増えるケースのほうが多い。

 両さんの破天荒すぎる稼ぎぶりとその顛末は、ある意味で反面教師として「お金は地道にコツコツと稼ぐもの」だと読者に教えてくれている……のかもしれない。

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