■死してなお加速し続ける、暴走する怨念…「ノトーリアス・B・I・G」
第5部ではイタリアを舞台に、主人公ジョルノ・ジョバァーナたちがギャング組織「パッショーネ」のボスを追う戦いが描かれる。
数々の刺客が立ちはだかるなか、一行を絶望的な窮地に追い込んだのが、ボスの親衛隊・カルネが操るスタンド「ノトーリアス・B・I・G」だ。
このスタンドの恐ろしいところは、本体であるカルネが生きている間は発動せず、死亡して初めて能力が発動する点にある。
カルネは丸腰でジョルノらの前に現れ、あえて攻撃を受けて死亡することで、このスタンドを発動させた。その能力は「周囲で最も速く動く物体を感知し、捕食するまでひたすら追跡する」という単純かつ凶悪なもの。
人間であろうと無機物であろうと、構うことなく手当たり次第に襲いかかる。しかも本体がすでに死亡しているため、スタンド使いを倒すという定石は当然ながら通用しない。
さらに、捕食した物質をエネルギーとして吸収することで、際限なく成長し続けるというやっかいな特性も持つ。
作中では飛行機で移動するジョルノらを襲い、機体そのものまで喰らい尽くし、手が付けられないほどの怪物へと変貌していった。
倒す手段が存在せず、ただひたすら逃げ続けるしかない絶望的な状況は、まさに悪夢そのもの。なによりカルネが任務遂行のため、自ら進んで命を投げ出してスタンドを発動させたという事実もゾッとする。
死してなお、怨念のように暴走を続けるその姿は、異質さとともに、底知れぬ不気味さを感じずにはいられない。
「本体を倒せばスタンドも消える」というスタンドバトルの原則を、真っ向からくつがえしたのが、今回紹介したスタンドたちである。
倒すべき相手がすでにこの世にいない、あるいは乗り換えていくという事実は、主人公たちを極限まで追い詰める最大の要素となった。
本体とのつながりが絶たれても、それぞれの執念や本能で活動を続けるスタンドたちの姿は、読者にも強烈な恐怖を植えつけたに違いない。


