バンダイナムコグループが運営する公式オンラインショップ「プレミアムバンダイ」。通称プレバンと呼ばれるオンラインショップでは、マニアックなガンプラの受注販売が行われている。
そしてプレバンでは、毎年恒例の『BEST of プレバンガンプラ』を決めるファン投票企画を開催。今年も「プレバンガンプラ総選挙2026」が行われた。
2009年以降に発売されたガンプラ約750体を対象にした「プレバン総選挙2026」の結果は、昨年に引き続いて「MG 1/100 Ex-Sガンダム/Sガンダム(タスクフォースα Ver.)」が1位に輝き、2連覇を成し遂げた。
この「Sガンダム(スペリオルガンダム)」は、ガンプラなどの立体物化やゲームへの参戦はあるものの、きちんとしたかたちでの映像化はされていない。そのため、どのような機体なのか詳しく知らない人もいるかもしれない。
それにもかかわらず、通好みの機体が集まるプレバン総選挙で圧倒的な人気を示したのはなぜだろうか。その人気機体のルーツを探ってみたい。
■マニアを魅了する硬派な原作ストーリー
Sガンダムは、雑誌企画『ガンダム・センチネル』に登場したモビルスーツで、「Ex-S(イクスェス)ガンダム」とは、その換装形態の1つである。
『ガンダム・センチネル』は、もともとは模型雑誌『モデルグラフィックス』(大日本絵画社)に掲載されたフォトストーリーで、のちに総集編となる別冊ムックが発売。さらには完全版小説である『ガンダム・センチネル ALICEの懺悔』(高橋昌也氏・著)が発売されている。
同作の舞台となったのは宇宙世紀0088年で、アニメ『機動戦士Zガンダム』の終盤から『機動戦士ガンダムZZ』序盤あたりの出来事となる。地球連邦軍の選りすぐりのパイロットで構成された教導団が「ニューディサイズ」を名乗り、連邦に対し起こしたテロを巡る戦いが描かれた。
回想以外の主要人物にヒロイン的な女性キャラは登場せず、ストイックに現場の兵士たちの葛藤や生き様を描く物語が特長。メインストーリーは、日本史における幕末の戊辰戦争がモチーフになっている。
主人公のリョウ・ルーツは、多くのガンダム作品に見られるヒロイックな主人公とは一線を画し、協調性に欠け、パイロット技能も低く、ニュータイプのような特殊技能も持たない。ファンの間では、「ガンダムパイロット最弱」の呼び声があるほどの不良である。
そんな彼が所属する「タスクフォースα(α任務部隊)」は、地球連邦軍内で反乱を起こしたニューディサイズ討伐のために結成された部隊だ。最新のガンダムタイプのモビルスーツが配備されており、その筆頭となるのがリョウがパイロットを務めることになるSガンダムだった。
■人工知能「ALICE」を搭載、目指したのは「究極のガンダム」
Sガンダムは、同時期に開発されたZZガンダムと同じく、アナハイム・エレクトロニクス社が携わるガンダム開発計画「Z計画」の産物であり、兄弟機ともいえる。3機の小型戦闘機に分離・合体可能な点や、Sガンダムは強化パーツありきながら戦闘機形態に変形可能な点も共通する。
そのようにZZガンダムとSガンダムは似ている部分が多いが、Sガンダムは「究極のガンダム」を目指して開発された。Nintendo Switch用ソフト『SDガンダム GGENERATION GENESIS』(バンダイナムコエンターテイメント)の本機の説明文では、「ガンダム系MSの終着点」と評価されている。
その最大の特徴は「ALICE」と呼ばれる人工知能を搭載し、機体の完全制御すら可能となっている点だろう。複雑化した操作系をALICEが補助することにより、ニュータイプ専用機にも匹敵するパフォーマンスを発揮するという。
この人工知能の開発者はリョウの母親であり、Sガンダムに搭載されたALICEには「人間だけが持つ、不合理さを伴う思考・行動」を学習させる必要があった。その教育係として選ばれたのが、不条理な男として知られるリョウだったのである。
リョウは、己の未熟な操縦技能をALICEに助けられ、ALICEはリョウから人間を学んで共に成長するという、パイロットと機体の成長物語でもある。こういった複雑なバックボーンがあるのもSガンダムの魅力と考えられる。


