■「部下の気持ちを汲んでくれる上司」平子真子

 最後に挙げたいのが、五番隊隊長を務める平子真子だ。

 軽妙な関西弁と、どこかつかみどころのない飄々とした態度が特徴の平子。しかし上司としての彼の哲学は極めて明確である。

「上に立つ者は 下の者の気持ちは汲んでも顔色を窺ったらあかん」。

 これは110年前の「過去篇」において、隊長になったばかりの浦原喜助に先輩隊長として送ったアドバイスである。

 部下の気持ちにはしっかりと目を向ける一方、その気持ちに引っ張られて自分の判断まで揺るがせてはならない。これは、平子自身が常に心がけているリーダーとしての信条そのものといえるだろう。

 実際、平子は周囲をよく見ているタイプだ。110年前には、当時副隊長だった猿柿ひよ里を気にかけ、その後は「仮面の軍勢(ヴァイザード)」を実質的にまとめる立場として、仲間たちを支え続けた。さらに、虚(ホロウ)化に苦しむ黒崎一護に修行の道を示すなど、面倒見の良さを発揮している。

 護廷十三隊五番隊隊長に復帰してからも、その姿勢は変わらない。精神的に傷を抱える雛森桃をそのまま副官に据え、「死神代行消失篇」では、銀城空吾の事件を終えて尸魂界を訪れた一護に声をかけて、その心情を気にしている様子があった。

 ところが、そんな「人を見る力」を逆手に取ったのが、藍染だ。平子は早くから彼の異質さを察知し、副隊長として身近に置きながら監視を続けていた。しかし藍染は、その警戒心すら巧みに利用し、平子を欺いたのである。

 藍染に一杯食わされた経験は彼の汚点かもしれない。だが、周囲をよく見て部下の気持ちに目を配りつつも、リーダーとして判断の軸がぶれない姿勢は、組織を任される隊長として重要なマネジメントスキルといえるだろう。

 

 戦闘能力だけでは測れない、護廷十三隊の隊長たちの上司としての魅力。今回取り上げた3人は、それぞれが違ったかたちのリーダーシップを見せ、「この人の下で働きたい」と思わせてくれるような存在だった。

 一方で、研究のためなら部下の命すら顧みない十二番隊隊長・涅マユリや、戦うこと以外に興味がない十一番隊隊長・更木剣八の下で働くには、相応の覚悟が求められるだろう。とはいえ、自分の研究や戦いに没頭したい人にとっては、むしろ居心地のいい環境なのかもしれないが……。

 それぞれに異なる魅力と厳しさを持つ護廷十三隊の隊長たち。もしも自分が護廷十三隊に入るとしたら、あなたはどの隊長の下に配属されたいだろうか。

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