■アニメ版ではタクトが記憶喪失? 描かれた結末の違い
漫画の最終回では、死神部長シェルダン(ジョナサン)、そしてミスティアとの対峙が描かれる。満月の言葉によって「死神」という言霊に縛りつけられていた2人の呪縛が解かれ、満月をずっと側で守り続けてきた英知の魂の存在が明かされた。
最終的に昏睡状態だったタクトは目を覚まし、16歳に成長した満月と再会を果たすという感動的な結末を迎える。
一方、シェルダンやミスティアが登場しないアニメ版では、代わりにグレートマザーという死神のボスが登場する。
満月の命を救うために死神の規則違反をしたタクトとめろこは、裁きを受けなければならなかった。そこでグレートマザーは、めろこを天使に昇格させ、タクトを昏睡状態から救うという慈悲深い裁きを下す。しかし、タクトは「試練」として記憶をなくしたまま目を覚ますことになる。
病気は治ったものの、タクトとめろこがいなくなって放心状態の満月。そんな彼女の元に、ぬいぐるみに変身しためろこが現れる。
めろこは退院したタクトと満月を引き合わせ、満月が「めろこ!」と名前を叫んだことをきっかけに、タクトが何かを思い出したかのような表情を見せるラストシーンで、アニメ版は幕を閉じた。
タクトが記憶を失ったまま生還し、めろこは天使になるというアニメ版の結末は、原作とはまた一味違う感動に包まれる温かな大団円となった。最後まで満月とタクトを救おうと奮闘しためろこが、美しい天使の姿になって空へ昇っていく姿に涙したのは筆者だけではないだろう。
アニメ版は原作漫画よりも早く最終回を迎えたが、この結末はシリーズ構成を務めたまさきひろさんが、作者の種村さんと直接打ち合わせを重ねて作り上げたことを明かしている。そのため、アニメ版は原作者公認のアナザーエンドとして位置づけられている。
少女漫画の王道である“変身もの”でありながら、「生と死」という普遍的で深いテーマを織り込んだ名作『満月をさがして』。音楽が重要な要素である本作において、実際に歌を聴くことができるアニメ版は、原作ファンからも根強い支持を得ている。
原作漫画とアニメ版、それぞれが独自の魅力を持つ最終回。その両方を見比べることで、この物語が持つ感動をより深く味わえるだろう。ぜひこの機会に、見返してみてはいかがだろうか。


