デビュー30周年! 種村有菜『満月をさがして』最終回はどうなった? 原作・アニメ版で異なる「それぞれの結末」の画像
DVD『満月をさがして』第4巻(バンダイビジュアル)(C)種村有菜/集英社・テレビ東京・NAS

 昔も今も少女漫画界で絶対的な存在感を放つ漫画家・種村有菜さん。1996年に『りぼんオリジナル』(集英社)掲載の『2番目の恋のかたち』で漫画家デビューを果たして以来、『神風怪盗ジャンヌ』をはじめ、数々のヒット作を生み出してきた。

 2026年はデビュー30周年を迎える記念イヤーとして、現在、「種村有菜 30周年記念展 きらめく少女たちの夢物語」が開催されている。

 そこで今回は、数ある名作の中から『りぼん』2002年1月号から連載が開始され、アニメ化もされた種村さんの傑作『満月(フルムーン)をさがして』を取り上げ、原作漫画とアニメ版の違いを比較しながらその魅力を振り返っていこう。

 

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます。

 

■少女漫画王道の“変身もの”を描いた『満月をさがして』

 本作の主人公は、喉の病気を患う12歳の少女・神山満月(こうやま みつき)。彼女は大好きな歌を歌えなくなることを恐れ、主治医の若王子圭一から勧められた手術を拒否し続けていた。そんなある日、満月の前に死神のタクト・キラとめろこ・ユイが現れる。

 死神たちから余命が残り1年であることを知らされた満月は、残された時間を使って夢である歌手になるためにオーディションに挑んだことから、物語が始まっていく。

 年齢制限のあるオーディションを受けるため、タクトの能力で16歳の姿に変身した満月は見事合格。「フルムーン」として歌手デビューを果たし、芸能界へと羽ばたいていくのである。

 少女漫画の王道とも言える、“変身もの”要素を取り入れつつ、「生と死」という重いテーマを描いた本作は、単なるファンタジー作品ではなかった。物語が進むにつれて、タクトやめろこといった死神たちが、“生前に自ら命を絶った過去”を持つことが判明する。

 死神たちの悲しい過去と、満月を取り巻く人物たちの物語が複雑に絡み合い、点と点がつながっていくストーリー展開は秀逸である。さらに、満月の初恋の相手・桜井英知に隠された切ない真実も明らかとなり、それぞれのキャラクターたちのバックグラウンドに涙した読者も少なくないだろう。

■アニメ版では満月の歌声も聴ける! 原作とは一味違う設定に

 『満月をさがして』は、原作漫画の連載が始まって間もなくアニメ化された。主人公・満月役には、当時「Changin' My Life」のボーカルとして活動していた歌手のmycoさんが抜擢され、作中では歌唱シーンも担当していた。

 漫画では表現できない満月の歌声を実際に聴ける点は、アニメ版の大きな魅力であり、大きな話題を呼んだ。また、タクト役を故・斎藤恭央(桜塚やっくん)さんが演じていたことも、多くのファンの記憶に深く刻まれているだろう。

 原作漫画の連載とほぼ同時期に放送されたアニメ版には、オリジナルの設定や展開が盛り込まれている。特にタクトの能力で16歳の姿になるシーンは、キラキラと光り輝きながら変身する演出が加えられ、“変身もの”としての魅力がより際立っていた。

 そして原作との最も大きな違いは、満月が英知の死を知るタイミングである。

 漫画では、満月は英知がすでに亡くなっている事実を知りながらも、そこから目を逸らし、彼との約束を果たすために歌手を目指していた。物語の序盤から満月が死を恐れない理由が、「死んだら英知くんに会える」という想いゆえであったことが分かり、幼い少女が背負う運命の過酷さに胸が締めつけられた。

 一方、アニメ版の満月は、英知が生きていると信じ続けており、アメリカに渡って初めて彼の死を知る。英知の名が刻まれた墓標を発見するシーンは、物語の重要なターニングポイントとして描かれた。

 絶望のあまり英知の後を追おうとしてしまう満月だが、周囲の助けもあって立ち直っていく。その姿は、原作漫画とは異なるかたちで彼女が背負った悲しい運命を痛感させるものとなっていた。

 ほかにも、細かな設定の違いは多い。たとえばタクトの死因について、原作では満月と同じように喉の病気を患い、歌えなくなったことを悲観しての投身自殺であったが、アニメでは自暴自棄になった末のバイク事故に変更されている。

 さらにアニメ版では満月の友人である那智や、死神部長のシェルダン、死神の始祖にあたる死神主人・ミスティアといったキャラクターが登場しない点も大きな違いだ。この設定変更が、後述する結末の大きな分岐点となっている。

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