あの強豪校がまさかの敗退!? 読者も驚いた大番狂わせ…高校野球漫画で描かれた「大本命チームの敗北」の画像
少年サンデーコミックス『H2』(小学館)第1巻

 今年も高校球児たちの熱い夏が始まった。8月5日より第108回全国高等学校野球選手権大会が開幕し、阪神甲子園球場では連日熱戦が繰り広げられている。その予選にあたる夏の地方大会では、春の選抜高等学校野球大会(センバツ)の4強がすべて敗退するなど、強豪校のまさかの敗北が大きな話題を呼んだ。

 そのニュースを見て、「絶対的本命」といわれた強豪校が敗北する展開が描かれた高校野球漫画を思い出した人もいるのではないだろうか。

 そこで今回は意外な展開で読者に衝撃を与えた、名作高校野球漫画にあった強豪チームの印象的な敗北シーンを振り返りたい。

 

※本記事には各作品の内容を含みます。

 

■『ドカベン』甲子園4回優勝の絶対王者が唯一負けた…弁慶高校戦

 高校野球漫画の強豪校と言えば、水島新司さんの『ドカベン』(秋田書店)に登場する明訓高校を外すわけにはいかない。攻守に隙のない超高校級の捕手・山田太郎が中心となる明訓は、作中で甲子園全国大会を4度制覇した、まさに最強チームだ。

 そんな絶対王者の明訓が敗北を喫したのが、山田が2年生時の夏の甲子園で対決した、弁慶高校戦である。強打者の武蔵坊数馬、エースの義経光の二枚看板を擁するものの、他の選手は平凡な実力であり、甲子園初出場のチームだった。客観的に見れば、正直明訓との実力差は明らかだ。

 しかし、義経の「1球目にどまん中ストレートを投げる」という前代未聞の予告に端を発し、明訓のリズムは徐々に崩されていく。予告ストレートに対応するため「1番・山田太郎」の打順で臨むが、これが仇となり攻撃の失敗を繰り返す。

 守備では武蔵坊の対応力に、里中智&山田のバッテリーが少しずつ追い込まれていき、7回裏には敬遠球を打たれて逆転ホームランを許してしまった。

 そして同点で迎えた運命の9回裏。ホームに飛び込んだ義経が渾身の“八艘飛び”で山田の頭上を越えるアクロバティックなホームインを果たし、弁慶高校のサヨナラ勝ちで試合は終わる。絶対王者・明訓の敗北に甲子園の観客はどよめき、ライバルたちは言葉を失った。「山田たちが負けるなんて……」と感じた読者も多かっただろう。

 ちなみに、高校野球で甲子園に出場できるチャンスは最大5回までである。もし弁慶高校戦の敗北がなければ、山田世代の明訓は甲子園の全大会制覇という偉業を達成していたかもしれない。

■未来のエースを育てるため…夏の覇者・明和一が散った『H2』

 次は、あだち充さんの『H2』(小学館)から、主人公・国見比呂の永遠のライバル・橘英雄を擁する明和第一高校野球部の敗北を振り返りたい。

 明和第一は、英雄が2年生の夏に甲子園で全国制覇を成し遂げた強豪校で、続く3年春の甲子園でも優勝候補の筆頭に名を連ねていた。

 だが、実際には春の甲子園どころか、その予選に位置づけられる秋の東京大会で明和第一は負けてしまうのである。

 試合後、比呂に怒鳴りこまれた英雄は、明和第一の敗因は、とある「賭け」に負けたからだと語った。

 明和第一の新エース候補・石元豊は素晴らしいストレートを投げるものの、大観衆の視線が自分に向くと貧血と吐き気を催すという体質を抱えていた。甲子園常連校である明和第一にとって致命的な弱点だったが、甲子園で勝ち上がるためには、素質を秘めた石元を真のエースに育て上げる必要があった。

 そのため明和第一は、観客のいる公式大会のマウンドに石元を立たせ、プレッシャーに慣れさせようと荒療治を敢行する。「あいつが取られた点は、必ず取り返すつもりだった」という覚悟のもと、英雄たち明和第一ナインは試合に臨んだが、7回までに12点を失う猛打戦の末、力尽きてしまったのである。

 未来のエースを育てるため、勝てたはずの試合で一か八かの賭けに出た明和第一。先を見据えたがゆえの敗北であったが、試合終盤に石元は力強いストレートを投げていた。それは、ビデオを見た比呂が「ものすげえ」と賞賛するほどのものだった。

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