■「上杉和也を超えてくれ」最大の期待を寄せたライバル・新田明男

 全国最高峰の天才バッターであり、達也の最大のライバルでもある新田明男。彼が達也の潜在能力に惚れこんだのは、高校2年夏の地方大会でのことだ。前述した2人と比べるとやや遅いが、その分、達也の才能に期待する気持ちは並大抵のものではなかった。

 新田は、中学時代に和也と対戦して自身は3打席連続三振、試合は完全試合を達成されるという完敗を喫した苦い経験がある。これをきっかけに本格的に野球に打ち込み、和也との「4打席目」の勝負を目標に、名門・須見工業高校野球部の4番打者にまで上り詰めた。しかし、対決を望んだ和也は不慮の事故で急逝してしまう。

 目標を失いながら、それでも彼との決着を求め続けた新田の前に現れたのが、双子の兄・達也だった。高校2年夏、大会ナンバーワン投手・西村勇を相手に互角以上の投げ合いを繰り広げた達也に、新田はこう言うのだ。「もう一度上杉和也と対決させてくれ」「上杉和也を超えてくれ」と。

 1年生にして甲子園制覇も夢ではないと言われた天才投手・和也を、達也なら超えられる。そして、その達也を倒してこそ自分の未練は断ち切れると語る新田の期待はあまりにも大きく、そして重いものであった。

 

 和也の死をきっかけに野球と本気で向き合い始めた達也は才能を開花させ、ついには甲子園優勝という偉業を成し遂げる。残念ながらドクターストップがかかったとして、本編ではプロ入りを拒否したが、投手としての実力は世代ナンバーワンであったと考えていいだろう。

 今回紹介したキャラクターたちは、そんな達也がまだくすぶっていた時期、あるいはようやく成長を始めた段階でその才能を見抜いていた。そう考えると、彼らが素晴らしい観察眼の持ち主であったことは、疑いようのない事実である。

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