■読者の心に余韻を残すラスト
対局が終わった後、アキラに「これで終わりじゃない 終わりなどない」と力強い言葉をかけられ、ヒカルは席を立つ。そのときの彼の表情には、新たな決意が刻まれていた。そして最後は、「聞こえるのですか?」「私の声が聞こえるのですか…?」と、第1話の佐為のセリフが書かれ、『ヒカルの碁』の物語は幕を閉じる。
宿命のライバル・アキラとの決着は明確にはつかないままで、ヒカルがトップ棋士になったわけでもない。その意味では“不完全燃焼”に見えなくもないこのラストは、読者の間でもさまざまな意見があり、評価の分かれる部分でもある。
しかし、この余韻を残した終わり方もまた『ヒカルの碁』らしいと感じた人も多いのではないだろうか。本作は、そもそも囲碁という珍しいテーマに臨んだ挑戦的な漫画といっても過言ではない。その作品は最後の瞬間まで読者を驚かせたのだ。
主人公の勝利といった分かりやすい形ではなく、「囲碁の厳しさ」を伝え、そして何より「碁を人から人へとつないでいく」というテーマをしっかりと描いた『ヒカルの碁』らしい最終回。枠にハマらない作品だからこそ、最終回まで印象に強く残る伝説の作品になったといえるだろう。
ヒカルの敗北で終わった『ヒカルの碁』だが、コミックスの最終巻にはその後に番外編が2編収録されている。とくに2編目の「庄司君っ!岡君っ!」というエピソードでは、北斗杯に触発された若き院生の物語がある。漫画史に残る異色の最終回はもちろん、“その先の物語”もあわせて楽しんでみてほしい。
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