美しさは罪か? 文豪も支配者も機械化人も…『銀河鉄道999』メーテルの美しさに魂を焦がした男たちの「哀れな顛末」の画像
[Blu-ray]『銀河鉄道999』(東映アニメーション・東映ビデオ)/(C)松本零士・東映アニメーション

 松本零士さんの不朽の名作『銀河鉄道999』に登場する謎多き美女・メーテルは、永遠のマドンナとして今もなお多くのファンを魅了し続けている。長いまつげに憂いを帯びた瞳、そしてスーパーモデルのようなスタイルを持つメーテルは、主人公・星野鉄郎だけでなく、旅の道中で出会う多くの男性たちの心もつかんできた。

 しかし彼女の人間離れした美しさは、時に男たちの理性を失わせ、常軌を逸した行動へと走らせてしまうこともあった。今回はそんなメーテルに恋焦がれた男たちの、哀れな顛末を紹介したい。

 

※本記事には作品の内容を含みます。

 

■小説家としての人生を捨ててまで…「かげろうの星」世井正雪

 恋をするのに年齢は関係ないというが、まさにそれを体現した人物が「かげろうの星」で出会った文豪・世井正雪である。

 世井は長い白髪とひげをたくわえた老人で「かげろうの星」にたった1人で暮らし、“孤独こそ名作を生む真の環境”という信念のもと、宇宙最長の大長編小説を執筆していた。しかし、999号でこの星を訪れたメーテルを一目見た瞬間、彼のストイックな生活は崩れてしまう。

 すっかりメーテルのとりこになった世井は、鉄郎を電撃銃で眠らせてパスを盗み、999号に乗ってメーテルとこの星から逃亡するという暴挙に出る。だが車掌から「突然年をとるのはおかしい」と指摘され、仕方なく鉄郎にパスを突き返すのであった。

 メーテルと逃亡できないと悟った世井は、彼女に銃を突きつけ、一緒に死んでほしいと頼む。するとメーテルは、世井だけに“自らの本当の姿”をさらけ出した。その衝撃的な姿を目の当たりにした世井は我に返り、メーテルを諦めて再び1人で小説を書きはじめるのであった。

 30年もの間、たった1人で小説を書き続けてきた世井だが、メーテルを一目見ただけで、そのすべて捨てようとしたのである。彼はメーテルの正体を見た数少ない人物となったが、その直後に正気を取り戻したという点も興味深い。

 老人をも惑わせたメーテルの魔性と、底知れぬ謎を感じさせるエピソードである。

■暴力でメーテルを強奪!?「サケザン大陸」サケザン

 メーテルを力づくで自分のものにしようとした男もいる。それがジャングルに覆われた野生の星「サケザン大陸」の支配者であるサケザンだ。

 サケザンは一見すると乱暴で残忍な男だが、美女には目がなく、どこか憎めないおおらかな性格でもあった。この星に降り立った鉄郎とメーテルはサケザンの攻撃を受け、簡単に捕らえられてしまう。

 サケザンは鉄郎を牢屋に放り込む一方、美しいメーテルは傍らに置いてお酌をさせ、まさに美女をはべらせる王様のように振る舞う。

 しかし、同じくサケザンに捕らわれていた女性・ライザの助けで脱出した鉄郎は、メーテルを救うために再びサケザンに対決を挑む。だがサケザンの圧倒的なパワーの前にあえなく撃沈し、気を失ってしまった。

 もはやこれまでかと思われたが、サケザンは「強い男の友だちをとりあげるのはいけないことだ」と言って、メーテルを解放したのである。

 最終的にサケザンは、真の理解者であるライザと共に生きる道を選ぶ。一度は力ずくでメーテルを奪おうとしたものの、鉄郎の勇気を目の当たりにして男としての筋を通した。メーテルの美しさに心奪われながらも、最後は道を踏み外さなかった彼の選択に思わずホッとさせられた。

  1. 1
  2. 2
  3. 3