ただ殴る。それだけのシンプルな攻撃だからこそ、「パンチ」にはキャラクターの強さがもっとも分かりやすく表れる。
派手な必殺技や特殊能力が飛び交う漫画の世界でも、読者の記憶へ強く刻まれるのは、理屈抜きで叩き込まれる渾身の一撃ではないだろうか。
では、漫画界における「パンチ力最強」は誰なのだろうか。今回は、思わず「それは反則だろ!」と言いたくなる、漫画界屈指の“最強パンチ”を繰り出した3人を紹介する。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■ただの「普通のパンチ」で巨大隕石を粉砕! 『ワンパンマン』サイタマ
まず紹介するのは、『ワンパンマン』(原作:ONEさん、作画:村田雄介さん)の主人公・サイタマである。彼はそのタイトルの通り、どれほど強大な敵であろうと文字通り“ワンパン(一撃)”で戦闘を終わらせてしまう、異色のヒーローだ。
作中では「生物進化の極致に到達した怪人」「都市を壊滅寸前まで追い込んだ深海の支配者」「高層ビル群を見下ろすほど巨大な怪人」など、常識外れの敵をことごとくワンパンで倒してきた。
そんなサイタマの圧倒的なパンチ力が特に際立ったのが、コミックス第4巻で描かれた巨大隕石の迎撃エピソードである。
突如、Z市に向けて巨大隕石が落下。S級ヒーローであるジェノスやメタルナイトらが迎撃に動くものの有効打にはならず、都市壊滅は避けられない絶望的な状況に追い込まれてしまう。
その隕石の正確な大きさは明言されていないものの、街全体を覆う描写などから考えると、そのサイズは直径200m級と推測される。ちなみに、この規模の物体が衝突した場合のエネルギーを計算してみたところ、威力が約50メガトンの人類史上最大の核兵器「ツァーリ・ボンバ」十数個分に匹敵するほどだった。
周囲が絶望に包まれる中、最後に現れたのがサイタマだった。彼は上空へ向かって力強く跳躍すると、「俺の町に落ちてんじゃねえ!!!」という叫びとともに、迫り来る大質量の塊に対して拳を一閃。隕石を真っ向からぶち抜いたのである。
次の瞬間、巨大隕石は轟音とともに空中で粉々に砕け散り、Z市消滅の危機は見事に回避された。その後、無数の破片が町へと降り注いだことで被害は出たものの、サイタマの一撃がZ市、そしてそこに暮らす多くの住民の命を救った事実に変わりはない。
■魔法世界のルールを筋力で破壊…異端主人公『マッシュル』マッシュ
続いて挙げたいのは、甲本一さんによる『マッシュルーMASHLEー』の主人公、マッシュ・バーンデッドである。
本作の舞台は、生まれ持った魔力によってすべての価値が決まる魔法至上主義の世界。しかし主人公のマッシュは、魔法をいっさい使うことができない。本来であれば、戦うことすらままならない環境だが、彼は「ぶっ壊すしかないでしょ、グーパンで」という決めゼリフそのままに、ただひたすらに鍛え抜いた拳ひとつであらゆる困難をねじ伏せていく。
作中に描かれた圧倒的な破壊描写で、その異常なパンチ力がよく分かる。
シルバ・アイアン戦では、魔法「アイアンフィスト」によって地面から生み出された巨大な鋼鉄を真正面から粉砕。さらにセル・ウォー戦では、「カーボレイン」によって無数に放たれた“炭素の塊”の弾幕を、何の魔力補助もなく文字通り拳だけで次々と叩き割り、突破してみせた。
そのあまりの破壊力ゆえに、彼の戦いぶりを見た誰もが、それを強力な魔法によるものだと疑わなかったほどだ。その破壊のすべてが純粋な筋力によるものだと明らかになったとき、仲間たちは思わず「もうファンタジーじゃない? それって」と驚愕する。
魔法世界の住人にすら逆に“ファンタジー”と評されることこそ、マッシュの拳が規格外である何よりの証明だろう。


