■「死を見せ物に…!?」現代にも通じる恐ろしさ(魔女っ子メグちゃん)

 最後はシリーズ7作目にあたる『魔女っ子メグちゃん』(1974年)のエピソードを紹介したい。同作は、魔界の次期女王候補であるメグとノンが、それぞれ先輩魔女の家の娘となり、人間界で女王としての資質を身につける修行を行う物語だ。

 本作の大きな魅力は、主人公の神崎メグだけでなく、ライバルのノンという、2人のヒロインの存在にある。人間に寄り添おうとするメグに対し、ノンは人間を見下しており、彼女たちはしばしば衝突する。魔法をふんだんに使ったケンカ描写は、作品の見どころでもあった。

 そんな明るく、かしましい作品において、第22話「星はいつ海に降るか」の回は、極めて重いテーマを扱った異色のエピソードである。

 中学3年生のメグは、クラスメイトの不良・シンスケの父親が、倒産を苦に自ら命を絶ったことを知る。絶望したシンスケは、何度も自死を試みるようになるが、そのたびにメグは魔法を使って救い続けた。

 やがて世間やマスコミも不良の彼を「かわいそうな少年」ともてはやし、それに味をしめたシンスケは、ついに大衆の面前で飛び降りようとする。

 最初こそ父親を失ったことに絶望しての行為だったシンスケだが、周囲から注目を集めるうちに行動がエスカレート。ついには「自分の死」さえ見せ物にするというのは、まさに戦慄の展開だった。

 安易に魔法で助け続けたせいで、シンスケの心を歪ませてしまったと後悔するメグ。しかし、その彼の暴挙を止めた人物こそが、死んだはずのシンスケの父親だった。

 実はシンスケの父親は借金対策のために自分の死を偽装していた。幼い頃から父親とすれ違い、寂しさゆえに不良となったシンスケは、父親が生きていたことを知って改心する。その後は親子で一から出直し、前向きに働きながら生きる道を選ぶという結末だ。

  昭和の作品ながら、現代社会にもあてはまる部分もあり、承認欲求の恐ろしさを物語っているようにも思える。メグの言葉を借りるなら、「いくら魔法を繰り返しても彼の心まで救うことはできない…」という人間の怖さと弱さを描いたエピソードといえるだろう。


 「東映魔女っ子シリーズ」では魔法がもたらす奇跡と同時に、人間のエゴや悪意といったリアルで生々しい面まで描かれ、視聴者の心に深く刻まれたエピソードが多い。子ども向けのアニメらしいキラキラとした夢や憧れの輝きだけでなく、時折人間の心の闇にまで鋭く切り込むあたりも、昭和のアニメ作品らしい部分といえそうだ。

 

■耳に残る魔女っ子シリーズの名曲をチェック

魔女っ子大作戦~スペシャル・ソング・コレクション
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