■勝手な思い込みとやりすぎた手段で、あわや大事故寸前!?(魔法のマコちゃん)
シリーズ3作目にあたる『魔法のマコちゃん』(1970年)は、アンデルセン童話の『人魚姫』をモチーフとした作品だ。人魚姫のマコは海難事故に遭った青年を助けて恋におち、人魚に戻れないことを覚悟して人間になる。
15歳の浦島マコとして生活する彼女は、父である深海の国の王・竜王から渡された魔法のペンダント「人魚の命」の力を借りて魔法を使用。さまざまな事件や困難に立ち向かいながら成長していく物語だ。
そんなメルヘンチックな設定の作品の中で、視聴者を驚かせたのは第28話「グランドの天使」の回だ。
若く美しい女性体育教師の永丘先生は、優秀な現役体操選手でもある。授業で跳馬の技「天使飛び」を披露し、生徒たちから喝采を浴びていた。しかし、永丘先生はスパルタ気味の指導法が目立ち、生徒から「ミイラ先生」と呼ばれているベテラン教師・三好先生から苦言を呈される。
その後、永丘先生は運動が苦手な生徒にも難しい技をやらせようとし、それを危険視する三好先生との確執は深まっていった。
そんなある日、永丘先生が跳ぶはずだった跳馬の脚が折れ、生徒のマコがケガをする事故が発生。責任を感じた永丘先生は辞表を提出し、教師を辞めようとするが、そこに現れた三好先生が跳馬の脚に傷を入れる細工をしたのは自分だと衝撃の告白をする。
実は三好先生と永丘先生は、実の親子だった。過去に妻と離婚し、娘と生き別れながら、くしくも同じ学校の教師として再会。しかし娘は、父親に対する反発心でかたくなになっていた。
一方の三好先生は、娘の行き過ぎた指導方針を案じ、いつか大事故を起こすのでは、と危惧していた。そこで生徒たちの目の前で一度失敗すれば思い直すだろうと考え、跳馬に細工を施したのである。
三好先生は、体操選手である永丘先生であれば、軽い失敗で済むはずだと思い込んでいたようだが、彼女ではなく生徒のマコがその跳馬を跳んでしまったために起こった事故というのが真相だった。
三好先生に悪意がなかったにせよ、跳馬の脚に細工するという行為自体は、見ていても恐ろしく感じた。無関係の生徒が事故に遭っており、もしも運動神経の悪い生徒があの跳馬を跳んでいたら……と想像するとゾッとしてしまう。
結局、三好先生は娘の永丘先生に真実を告げ、わだかまりが解けた2人は親子として涙の和解を果たす。最後は、体操の大会で見事に大技を成功させた永丘先生の活躍を、学校の校長室のテレビ前で静かに見守る父・三好先生の姿で締めくくられた。


