■銭形に対する屈辱と大泥棒としてのプライドが見え隠れする神回……第1シリーズ・第4話「脱獄のチャンスは一度」

 ルパンの盗みは派手でスマート。どんな難攻不落の場所にも潜り込み、狙った獲物は必ず手に入れる。そして警察の包囲網を鮮やかに脱出する姿はおなじみである。

 しかし第4話「脱獄のチャンスは一度」は、そんなルパンが屈辱を味わい、彼の“美学”を存分に示した異色のエピソードだった。

 警察の厳重な監視をくぐり抜け、お宝までたどり着いたルパン。しかし、その動きを読み切った銭形警部は、麻酔弾の一斉射撃によってルパンを眠らせ、捕らえることに成功する。だが、肝心のお宝は次元らの手によって奪われてしまう。

 そして刑務所に送られたルパンに死刑判決が下る。死刑執行の日が近づいても脱獄する素振りを見せないルパンに、なぜか逮捕した銭形のほうが焦りを見せる。

 やがて1年が経過し、死刑執行日に。変装した次元がルパンの独房へと潜り込み、銃を差し出すが、ルパンはそれを受け取ろうとしない。ルパンは独力で脱獄することにこだわりを見せるのである。

 実はルパンは、刑務所を抜け出そうと思えばいつでもできた。死刑執行日までそれをしなかったのは、ルパンが味わった「屈辱感」ゆえである。ルパンが逮捕された時、銭形が撃ったのは麻酔弾だった。あれが実弾であればあの時点で死んでいたはずであり、大泥棒としてのルパンのプライドは傷ついたのだ。

 だからこそ死刑執行日の土壇場で、自分と同じ屈辱を銭形に味わわせたいという執念だけで1年間も独房で耐えたのだった。

 死刑執行間際というスリルと、大泥棒としてのプライドが描かれたシリアスなストーリーは、ルパンという男の美学が詰まった最高の異色回といえるだろう。


 昭和に放送された『ルパン三世』には、今見ても新鮮な驚きが感じられるエピソードがたくさん存在した。もしも忘れられない昭和ルパンの傑作回があるなら、現在アニメ『ルパン三世』公式サイトで「アニメ化55周年特別企画」として実施中の投票企画に参加してみてはいかがだろうか。

 

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ルパン三世 : 1 (アクションコミックス)
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