■久保氏が描きたかった幻の物語…わずか3話で見られる「メノスの森篇」
わずか3話ながら、原作ファンほど見逃せないのが第147話から第149話の「メノスの森篇」である。
物語は、「破面篇」で一護たちが虚圏(ウェコムンド)へ突入した際、地下に広がる「メノスの森」へ落下してしまうところから始まる。そこで出会うのが、数百年もの間たった一人で虚と戦い続けていた死神・アシドであった。
赤髪に虚の仮面をかぶり、獣皮の衣をまとったアシドは強烈な存在感を放つ。仲間の仇を討つため、そして現世を守るために孤独な戦いを選んだ生き様から、アニメオリジナルキャラクターの中でも屈指の人気を誇る。
このエピソードに登場する死神・アシドは、久保氏が「原作ではタイミングの問題で出せなかったキャラクターなので、出せて良かった」と公言した、いわば幻のキャラクターだ。そのため本シリーズは、アニメオリジナルでありながら原作者の構想が色濃く反映されており、虚圏の生態系や死神たちの歴史を補完する重要なエピソードとなっている。
そしてアシドは、アニメだけの存在で終わらなかった。成田良悟氏による公式小説『BLEACH Spirits Are Forever With You』において、彼が250年前の七代目剣八こと刳屋敷剣八率いる十一番隊隊士だった過去や、アニメ後もメノスの森で戦い続けていることが明かされたのである。
つまりアシドは、単なるアニメオリジナルキャラクターの枠を超え、後年の公式小説にも登場し、『BLEACH』世界の歴史を構成する1人となったのである。
この「メノスの森篇」は原作ファンほど見逃せない、まさに“幻の原作エピソード”と呼ぶにふさわしいシリーズといえるだろう。
アニメ『BLEACH』のアニメオリジナルエピソードは、単なる原作の引き延ばしや時間稼ぎの外伝ではない。紹介したように、原作者監修のデザインや後の原作へつながる設定、そして原作では見られない夢の対決など、本編の魅力を補完する重要な役割を果たしているのである。
特に今回紹介した3シリーズは、「原作しか読んでいない」というファンにこそ見てほしい珠玉のエピソードばかりだ。7月から始まる「千年血戦篇ー禍進譚ー」の前に振り返れば、『BLEACH』という壮大な世界をより深く楽しめるはずだ。
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