■圧倒的なトラップ技術を見せる「凪誠士郎」
続いて紹介するのは、本作でも絶大な人気を誇る脱力系ストライカー・凪誠士郎。初登場時はサッカー歴半年にもかかわらず、多くの相手をそのテクニックで翻弄してきた天才FWで、同級生の御影玲王とともに、主人公の潔世一たちの前に立ちはだかった。
凪の武器は、桁外れのトラップ能力だ。彼のトラップはボールの勢いをそのまま吸収し、相手が対応する前に次のプレイへとつなげてしまう。
その特徴が顕著に表れたのが、第117話「はじめまして」の、ブルーロック対U-20日本代表戦の場面である。試合は日本代表の糸師冴の先制点によって、ブルーロック側が追いかける展開になったが、ゴール前のトラップでボールの勢いを吸収した凪は、足の裏でボールを地面に叩きつけることで宙に浮き上がらせ、体をひねりながらフィニッシュし、ブルーロックイレブンに同点弾をもたらした。
このゴールから連想されるのが、1998年フランスW杯準々決勝のオランダ対アルゼンチンにて、オランダ代表のデニス・ベルカンプが決めた決勝弾だ。
1-1で迎えた試合終盤。自陣からのロングパスを受けたベルカンプは、ボールを右足でおさめ、次のタッチでボールを叩きつけて相手をかわし、アウトサイドでゴールマウスを破ってみせた。凪が決めたゴールと角度こそ違いはあるものの、正確なファーストタッチとDFをかわす二つ目のタッチ、そして冷静なフィニッシュで試合の流れを変えた点も共通している。
正確無比な技術と冷静沈着なメンタルから「アイスマン(氷の男)」の異名を持つベルカンプと、いつも脱力気味だがミスをしない凪誠士郎。両者に共通するのは、仲間が作った小さなチャンスを決定機へと変えてしまう恐ろしさだろう。
■あの“名言”もしっかりオマージュ!「クリス・プリンス」
最後に紹介するのは、『ブルーロック』の中の世界のトッププレイヤーの1人である、クリス・プリンス。アニメにはまだ登場していないが、名前の響き、鋼の肉体、世界的スターとしての振る舞いや無回転の強烈なシュートから、ポルトガル代表の「クリロナ」こと、クリスティアーノ・ロナウドを彷彿とさせるシーンがいくつも登場する。
たとえば、第175話「理想と現実」の指導シーンにて、クリスは作中のキャラである御影玲王に、「どんなプレイヤーになりたいか」と質問する。世界一になれる力がほしいと語る玲王を称賛するクリスだったが、周りの選手から冷笑が起こると、彼はすかさず「なぜ笑うんだい?」と制止した。
これは、2014年にイベントで来日したクリスティアーノ・ロナウドが、つたないポルトガル語で一生懸命話す日本人の少年を会場が笑った際に放った言葉「なぜ笑うんだい? 彼のポルトガル語は上手だよ」とまったく同じ流れだった。
また、クリスが試合で見せる必殺技「制御不能歪曲弾(アンストッパブル・ナックル)」は、無回転で放たれたボールが不規則に揺れて落ちるシュートとして描かれている。回転量を抑えることで軌道を読みにくくする球質のことを俗に「ブレ球シュート」とも呼ぶが、クリスティアーノ・ロナウドもマンチェスター・ユナイテッド時代から無回転系のフリーキックやブレ球シュートの名手としても知られており、多くの試合でゴールネットを揺らしてきた。
このブレ球シュート自体は、元日本代表の本田圭佑選手や元ブラジル代表のジュニーニョ・ペルナンブカーノ選手なども得意としているが、クリスの肉体づくりへの執念と理想に向かう飽くなき向上心、そのタレント性は、ポルトガルが誇るスーパースターを連想せずにはいられない。
常識外れに見える作中のプレーも、現実のピッチで生まれた伝説を知れば、作品の楽しみ方も変わるはず。6月開催のワールドカップでも、フィクションを超えるようなスーパープレーに期待したい。
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