■どうやって運営している? 恐るべき産屋敷家の財力

 非公認組織でありながら、多くの隊士を抱えている鬼殺隊。驚くべきは、その給料だ。

 『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』によると、もっとも下の階級である「癸(みずのと)」でも、現在の価値で約20万円ほどの給料が支給されるという。さらに最高位である「柱」にいたっては、“無限に欲しいだけもらえます”という破格の待遇だ。

 柱になるには「“十二鬼月”を倒す」、または「鬼を50体倒す」という厳しい条件を満たす必要があるが、その高待遇は命をかける隊士たちへの正当な報酬といえるだろう。

 最下級の隊士にまで生活に困らないほどの給料を支払う鬼殺隊。では、政府からの援助がない非公認組織が、どのようにしてその莫大な運営資金を賄っているのだろうか。その秘密は、鬼殺隊を統率する当主・産屋敷一族にあった。

 産屋敷家の財力は、「柱稽古編」で描かれた広大な屋敷からも察することができる。一族がこれほどの富を築いたのは、代々受け継がれてきた「先見の明」によるものだ。いわゆる“勘”ではあるが、その制度は極めて高く、未来を予見することさえ可能であった。この力を用いて、産屋敷家は莫大な財産を築き上げたのだ。

 その「先見の明」の確かさは、当主・産屋敷耀哉が無惨の襲来を正確に予見したことからも証明されている。耀哉は長年無惨から隠れ続けてきた本邸の場所が“5日以内”に突き止められることを見抜き、自らを囮にして無惨を自爆に巻き込む作戦を実行した。この常人離れした能力こそが、産屋敷一族の力の源泉なのである。

 作中では、具体的にどのようにして「先見の明」を財産形成に利用したかは明かされていない。しかし、未来を予見する力があれば、ありとあらゆる手段で富を築くことはできるだろう。こうして築かれた富が、鬼殺隊の運営を支えているのだ。

■影から支える協力者「藤の花の家紋の家」

 前述したように、鬼殺隊の存在は一般人にはほとんど知られていない。しかし、中にはその活動を影で支援する協力者もいた。それが「藤の花の家紋の家」の人々である。

 彼らはかつて鬼殺隊に命を救われた一族の末裔であり、その恩返しとして隊士たちを無償で支援している。作中では、炭治郎が「鼓の鬼」響凱との死闘の後、ケガを癒すためにこの家紋の家に立ち寄り、手厚いサポートを受ける場面が描かれている。

 家主の老婆・ひさは、隊士たちに食事や寝床を用意するだけでなく、医者も呼んで適切な治療を受けさせるなど、心身ともに彼らを支えていた。

 また、「遊郭編」で、遊郭に潜入するための身支度を整えたのも「藤の花の家紋の家」であった。このように、彼らは任務に必要な物資の提供から休息場所の確保までを行う、まさに「縁の下の力持ち」なのである。

 公的な支援を受けられない鬼殺隊にとって、彼らの存在はなくてはならないものだろう。命を救われた恩を、一族をあげて返し続ける「藤の花の家紋の家」の人々。彼らの温かさは、過酷な任務をこなす隊士たちにとってホッと一息つくことができる貴重な拠り所となっている。

 

 世間からはその存在を知られることなく、鬼という脅威と戦い続ける鬼殺隊。帯刀すらままならない不自由な状況でも命をかけて人を守り、鬼を殲滅させようとする彼らの覚悟は、計り知れないものがある。

 しかし、彼らのおかげで救われた命があり、その恩を忘れずに支援をする人々がいるのもまた事実だ。誰かを想う気持ちが次へとつながっていく——そうした人々の縁が描かれているのも本作の魅力の1つのように感じる。

 炭治郎をはじめとする隊士たちに救われた人々もまた、その活躍を後世に語り継ぎ、“鬼狩り様”として大切に心に刻み込んでいくのだろう。

 

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鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録 (ジャンプコミックス)
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