『葬送のフリーレン』というタイトルに隠された“真の意味”に驚愕…作中に描かれた意味深描写とその答えを振り返るの画像
少年サンデーコミックス『葬送のフリーレン』第1巻(小学館)

 ファンタジー漫画『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人氏、作画:アベツカサ氏)は、勇者ヒンメルが世界を救った後の物語を描いた作品である。

 作中には伏線と思しき意味深な描写が数多くちりばめられており、「主人公・フリーレンの旅の目的地“魂の眠る地(オレオール)”はどんな場所なのか」「勇者パーティーが倒したとされる魔王は何者なのか」など、いまだに明かされていない謎の正体を想像するのも、本作の楽しみ方といえるだろう。

 一方で、意味深に思われる描写に対して、読者が納得できる答えを提示してくれる点も本作の魅力だ。伏線考察というと未回収の謎に関する内容を考えがちだが、あえて答えが判明した「元・伏線」を整理し、キャラクターの真意や世界観に迫ってみるのも面白い。

 そこで今回は、『葬送のフリーレン』の作中で「すでに答えが明かされた謎」をいくつか紹介しよう。

 

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます。

 

■像作りは最愛の人のために…勇者ヒンメルの行動の真意

 仲間とともに世界を救った勇者ヒンメルは、後世の人々から立派な英雄として称えられている。しかし、彼と一緒に旅をしたフリーレンからすれば、生前の彼は変わった行動ばかりする人だったという。

 その代表例が、各地に残る“ヒンメル像”の製作だ。

 彼は10年間の旅の道中、人助けの見返りとして各地に自分の像を作ってもらっている。その理由をヒンメルは「後世にしっかりと僕のイケメン振りを残しておかないと」など茶化すように語っていたが、本心はそうではない。最大の理由は、自分たちよりもはるかに長命なエルフであるフリーレンのためであった。

 魔王を討伐した勇者ヒンメルの偉業でさえ、何十年、何百年も先の未来では忘れられ、やがて実在したかも定かではない「おとぎ話」になる。そんな世界でただ1人、ヒンメルの存在を記憶し続けるフリーレンが抱えるであろう孤独を、ヒンメルは予見していたのである。

 だからこそ、彼は後世まで残り続ける“ヒンメル像”を作らせたのだ。勇者ヒンメルがたしかに実在した証として。

 また、ヒンメルは魔王討伐という大きな目的があるにもかかわらず寄り道を好み、その道中で多くの人助けをした。その理由を彼は、「誰かに少しでも自分のことを覚えていてもらいたいのかもしれない」と語っている。

 フリーレンはよく「勇者ヒンメルならそうした」と口にしながら人助けをするが、その言葉がある限り、彼女は寂しくないのだろう。

■成してきた偉業の答えがすごすぎた…クラフトの過去

 次は、漫画の第24話で登場したエルフ族の男性・クラフトについてだ。

 雪山で遭難しかけたフリーレン一行は、避難小屋で彼と遭遇する。その時のクラフトは上半身裸でスクワットをしながら「いいッ!! いいぞぉ!! 温まってきたぁ!!」と叫んでいた。その第一印象には正直「ネタキャラだろうか?」と思わされたが、その後は意味深な言動を見せるようになる。

 クラフトは自らを、“天地創造の女神様”を信仰する武道僧(モンク)と名乗る。だが、その鍛え上げられた肉体を見たシュタルクは「あんた とんでもなく強いだろう」と指摘した。勇者一行の戦士・アイゼンをよく知るシュタルクの言葉だからこそ、クラフトの実力の高さがうかがえる。

 また、フリーレンに対して「俺の成してきた偉業も正義も、知っている奴は皆死に絶えた」と、過去の行動を匂わせる発言もしていた。シュタルクが「強い」と認めるほどのエルフが成した偉業や正義とは、一体なんだったのだろうか。

 その答えは第34話で一行が訪れた、とある村で明かされる。村の老婆に依頼され、峡谷にある英雄の石像を磨きに行ったフリーレンたち。そこにあったのは名前も忘れられた僧侶と、剣を携えたクラフトの石像だったのだ。

 老婆によると、その石像は「遥か昔に世界を救ったとされる英雄様」「名前もわからん忘れられた英雄」だという。クラフトが成した偉業とは、勇者ヒンメルよりもさらに昔の時代に、世界を救ったことだったのだ。

 しかし、クラフトとその仲間である1人の僧侶を覚えている人間は、現代にはもういない。彼の圧倒的な強さとエルフが抱える寂しさに胸を打たれる、なんとも切ない伏線回収だった。

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