■坂元脚本×佐野Pの化学反応!カルテットに続く大人のためのロマコメ『大豆田とわ子と三人の元夫』
最後は、2021年に放送された『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系、火曜21時枠)を振り返る。本作は、前述の『カルテット』に続く坂元裕二さんとのタッグで生まれた作品だ。
主人公は、こちらも同じく松たか子さん演じる、バツ3で子持ちの女社長・大豆田とわ子。彼女を囲む元夫たちには、最初の夫・田中八作役に松田龍平さん、2番目の夫・佐藤鹿太郎役に東京03の角田晃広さん、3番目の夫・中村慎森役に岡田将生さんが抜擢されている。
ひとりで生きていけるけれど、どこか寂しさも感じる……。物語は、そんなとわ子が3人の元夫に振り回されながら、自分の人生と幸せを見つけていくロマンティックコメディだ。
性格も生き方もバラバラな彼らととわ子が織りなす物語は、いい意味で緩く安心感があり、見ているとどこかリラックス効果すら感じる。コミカルさとしんみりする展開のバランスが絶妙なのは、登場人物たちの個性が立ち、全員が魅力に溢れているからだろう。
また、本作を語る上で欠かせないのが市川実日子さん演じるとわ子の親友・綿来かごめの存在である。佐野さんが自身の友人をモデルに描き出したというこの人物には、恋愛や結婚だけを人生の中心に据えなくても、女性が自由に生きていけるようにという願いが込められていたそうだ。
そして、登場人物たちから語られる言葉の数々も本作の魅力。何気ない会話の中から生まれる言葉にも人生の本質を突くものが多く、観る者の心に深く残るのである。
誰かを愛することは自分自身を愛すること。ときには誰かに寄りかかることも生きていくうえで大切なこと。本作には、そんな当たり前のようでいて大人になると見失いがちな真理が詰まっている。日々を懸命に生きる中でふと心が疲れたとき、ぜひ観返してほしい傑作だ。
絶妙なリアリティと、繊細な人の感情の揺らぎ。佐野さんが手がける作品はいつも人間らしさに満ちていて、私たちに気づきを与えてくれる。そんな佐野さんの手腕が、現在放送中の『銀河の一票』でどのように発揮されていくのだろうか。物語の行方から、今後も目が離せない。
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