■軽薄男を中心に巻き起こる時空を超えた修羅場『超時空世紀オーガス』

 最後に紹介するのは、1983年に放送された『超時空世紀オーガス』です。『マクロス』の後番組として放送された本作は、「マクロスシリーズ」ならぬ「超時空シリーズ」の第2作目にあたります。

 軌道エレベーターの所有権を巡って2つの陣営が争う中、自由宇宙軍に所属する主人公・桂木桂は作戦中に独断で「時空振動弾」を起爆。これによって時空破壊が起こり、桂はさまざまな時空が混ざり合ってしまった20年後の地球に飛ばされます。時空修復の鍵である「特異点」となった桂は、いくつもの勢力から狙われる存在となり、愛機・オーガスを駆って戦いに身を投じるのです。

 本作を語る上で外せないのが、桂木桂という「軽薄男」が招いた、時空を超えた修羅場とドロドロの愛憎劇です。優秀なイケメンパイロットである桂は、とにかく女性好きのプレイボーイ。第1話では出撃直前まで、当時の恋人ティナ・ヘンダーソンとラブシーンを演じていたほどです。

 そして時空破壊で飛ばされた先の世界では、桂はエマーン人の少女ミムジィ・ラースに熱烈なアプローチをかけ、彼女の婚約者であるスレイと「三角関係」に突入します。

 エマーン人女性の妊娠可能期間は17歳までで、ミムジィもその妊娠期限が迫るなか、彼女は強引な桂に惹かれていきます。そんな彼女を再度振り向かせようとスレイも奮闘しますが、最終的にはミムジィの幸せを考えて身を引き、あげく彼は戦死してしまうのです。

 また、桂の戦友であるオルソン・D・ヴェルヌは、桂より5年早い「15年後の地球」に飛ばされていました。そこでオルソンはアテナ・ヘンダーソンという女性パイロットを育てますが、実は彼女は桂の娘。第1話で登場した桂の恋人ティナが妊娠しており、娘を出産していたのです。なお桂の娘アテナは、面倒を見てくれたオルソンを「おじ様」と呼んで慕い、やがて愛情を抱くようになります。

 その後、桂とアテナは出会いますが、実の父親である桂は軽薄そのもの。アテナは、母を忘れて自分と年の変わらない若いミムジィと交際している事実に激しく憎悪するのです。

 その最終回では、“特異点”である桂とオルソンが大特異点に突入し、時空振動弾を起動させる前の自分たちと遭遇。同時に存在できない過去の自分と撃ち合う瞬間、さまざまな並行世界が現れます。その中にはミムジィと結ばれ、桂の腕に赤ん坊の姿がある世界や、オルソンとアテナが結ばれる世界などもありました。

 恋人だったティナの安否を知る前に、許嫁がいた若いミムジィにちょっかいを出して、結果として異なる時空で別々の女性と結ばれた桂。さらに、成長していた実の娘がかつての相棒といい関係になるなど、ドロドロな修羅場を通り越し、複雑極まりない因果が絡み合う恋愛劇が描かれた作品でした。

 ちなみに、本作の放送時間は『マクロス』と同じ日曜14時。昼下がりからミムジィとの濃厚なラブシーンが描かれたことに多くの視聴者が驚いたことでしょう。


 シリアスなストーリーが増えつつあった昭和のロボットアニメにおいて、そこで描かれる恋愛模様もまたリアルで生々しいものが多くありました。いつ死ぬか分からない戦争の渦中にあった登場人物たちが、人の本能をむき出しにして行動してしまうのは、ある種当然のことなのかもしれません。

 

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